一昨年くらいから、食品の偽装、異物混入事件などが多発し、安全性について関心が高まっており、食品や食品添加物の危険性などに関する書籍も氾濫しています。しかし、間違いが多い書籍もかなり出版されています。実際に食品の開発・製造に関わったことのない人が書いているのでしょう。
筆者は大学、大学院で有機化学、食品化学、生物化学、微生物、化学分析などの勉強をした後、製薬会社で医薬品、食品添加物の研究開発に従事しました。また、食品添加物や医薬品などの安全性について、研究所で研究に従事してきました。遺伝毒性も扱い、ネズミもたくさん殺しました。さらに、食品メーカーで食品の研究開発、品質管理に従事しました。民間企業での研究は、自分のプライドと生活、将来を賭けた仕事です。決して生やさしいものではありません。前置きが長くなってしまいましたが、事前にお伝えしたかったのは、「筆者は浅学ではありますが、決して嘘は書かない」ということです。
長い人生を生き抜くために、食品の安全性に関する知識は必要です。決して厚生労働省が守ってくれることはないのです。「放置」国家に住んでいる以上、自己防衛しかないのです。本連載では、そのための知識をお届けしていきたいと思います。
食品は、
(1)食品素材(お米、小麦粉、砂糖、食塩、みそ、しょう油、芋など)
(2)食品添加物(保存料、着色料、化学調味料、乳化剤、人工甘味料など)
でできています。
では、食品添加物とはなんでしょうか。
食品添加物とは?
食品添加物の定義については、食品衛生法4条に書いてありますが、一般の人がこれを読んでも理解することはできません。食品衛生法とその関連法令には、技術的な専門用語、化学構造式などもたくさん出てきますから、裁判官、弁護士でもなかなか理解できないと思われます。食品衛生法4条では、次のように規定されています。
「この法律で添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法で使用する物をいう」
この条文を素直に解釈すると、食塩も小麦粉も食品添加物ということになってしまいます。食品添加物とは、厚生労働省が定めた「食品添加物リスト」に記載されたものです。
つまり、人工的につくられたものはすべて食品添加物になる、というわけではないのです。
食品添加物には、次の2つがあります。
(1)合成添加物:化学合成でつくったもの。
(2)天然添加物:虫などの動物や植物から抽出したもの。カビやバクテリアなどの微生物を大量に増やして(=培養)つくったもの。
では、その食品添加物の安全性はどうなっているか。次回より詳しくみていきます。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)