読者のみなさんに質問です。以下表はあるお菓子の包装に記載された原材料ですが、この中に合成化学物質はいくつあるでしょうか。これは超難問です。
【原材料】
小麦粉、加工デンプン、砂糖、小豆、食塩、保存料(ソルビン酸)、カロテン色素、黄色4号、甘味料(スクラロース、ステビア)
「ソルビン酸、カロテン色素、黄色4号、スクラロースの4つ」と答えたあなた。残念ながら間違いです。確かにこの4つは本連載前回記事で述べたように合成添加物なので、合成化学物質といえます。
問題は加工デンプンです。筆者は拙著『検証「食品」の闇』(リヨン社)の中で「合成デンプン」と命名したものの一種です。天然植物に含まれるデンプンにさまざまな化学薬品を混ぜ合わせてつくった、天然には存在しないデンプンだと考えてください。
では、冒頭の質問に戻ると、合成化学物質は加工デンプンを加えて5つとなるのでしょうか。残念ながら、この回答も間違いです。現在の化学では、単一の物質から成る合成デンプンをつくることはできません。
したがって、正解は、
「5つ以上ではあるが、実際にいくつあるかはわからない」
ということになります。
添加物の安全性試験は、化学構造のわかっている単一物質について実施するのが大原則です。いくつもの物質が混ざっているものでは、どの物質がどのような作用を発現したのか不明だからです。
このような物質については、合成デンプンが合成化学物質であればその具体的な名称が原材料として包装に表示されるべきですが、なぜか表示されていません。
当然ながら、絶対に表示すべきですし、表示しないのであれば使用を禁止すべきなのはいうまでもありません。
酵素も添加物?
では、次の質問です。
以下の原材料が記載されたペットボトル入りお茶には、添加物がいくつ使われているでしょうか。
【原材料】
緑茶葉、ビタミンC
「ビタミンCの1つ」と答えたあなた。残念ながら間違いです。
ここでは、恐らくビタミンCは合成品が使用されています。実は多くのお茶には、ニゴリを取るために微生物を増やしてつくった酵素が添加されています。酵素といってもきちんと精製されたものではありませんから、酵素以外の微生物由来物質をたっぷり含んでおります。この酵素は添加物なのですが、表示しなくてもよいことになっているのです。
したがって、正解は「ビタミンCと酵素の2つ」となります。
この酵素は、原材料に表示すべきではないでしょうか。
では次回は、添加物の種類についてみていきたいと思います。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)