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皆さんはミトコンドリアの名を一度ならず耳にしたことがあるでしょう。人間などの真核生物にある細胞内小器官で、食べ物からエネルギーをつくりだす働きを担っています。ミトコンドリアが活発に働く条件は、有酸素下で37℃以上の体温があることです。さらに、その体温もミトコンドリア自身が生み出しています。ミトコンドリアの多い場所、細胞は筋肉です。
もし日常的にストレスの多い忙しい生き方が続いていると、交感神経刺激により血管は収縮し血流障害と低体温を招きます。つまり、低酸素と低体温です。ミトコンドリアは十分機能できず、白血球の働きが低下してしまいます。感染症の病原体に敗北したり、がん細胞の排除に失敗してしまいます。本来からだを守るべき白血球が働けない、危機的状態になっているのです。ここが今回の要点です。生き方の無理が続くと、危険なのです。
一方、寝たきりになっている老人が肺炎を起こして死亡するケースが多い理由としては、寝たきり状態では、筋肉が萎縮し十分な発熱が起こらず体温を維持できないためです。ここでも、白血球が働けず感染症に敗北します。老人の肺炎の場合は老衰とみなしていいでしょう。
(文=安保徹/新潟大学名誉教授、医学博士)
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