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安保徹「間違いやすい医学の常識」

ストレスの多い忙しい生活が、がんの危険を大きく高めるメカニズム

文=安保徹/新潟大学名誉教授、医学博士
ストレスの多い忙しい生活が、がんの危険を大きく高めるメカニズムの画像1平成25年全国死因別死亡数(「東京都福祉保険局 HP」より)

 最近、「感染症が怖い」「がんが怖い」という話が多く、日本人は熱心に手洗いをしたり、がん検診を受けたりしています。しかし、私たちのからだは白血球によって守られていて、外からの微生物や内部で生じた異常細胞を速やかに排除する力を持っています。あまり心配するほどでもないのです。今回は、その白血球の働きと、どのような時にその力が低下してしまうかを学びます。

 人間は生き物の一つで、多細胞生物として存在しています。多細胞化すると構成する細胞は特殊な働きを担うようになります。皮膚の細胞、腸の上皮細胞、筋肉細胞などと特殊化すればするほど、自分自身で異物を処理する能力は退化しました。この弱点をどう乗り越えたのでしょうか。実は、単細胞時代のアメーバ様細胞を特殊化の流れから残し、それを全身に分布させ身を守るようにしたのです。

 アメーバ様細胞は、からだの隙間を動きまわり、異物があると飲み込んで、細胞内消化して無毒化します。この細胞群は大型で貪食作用を持つことから、マクロファージと呼ばれています。頭から手足まで全身の組織に分布して身を守ってくれています。肝臓にあるマクロファージはクッパー細胞、血液を流れるマクロファージは単球、組織にいるマクロファージは組織球と名付けられています。

 無脊椎動物まではマクロファージ1種類でからだの防御が成されていましたが、脊椎動物に進化してからは、防御効率をさらに高めるために顆粒球とリンパ球が生じています。しかし、顆粒球が細菌を処理した後も、リンパ球がウィルスやがん細胞を処理した後も、基本になるマクロファージが出て貪食により戦いの後をきれいにしています。酸素を運ぶ赤血球は、血色素・ヘモグロビンを抱えているので赤く見えますが、マクロファージ、顆粒球、リンパ球はヘモグロビンを持たないので白く見えます。そこで、白血球と呼ばれています。

 以上の事を知ってしまうと、私たちのからだには白血球がすみついているので感染症もがんも怖くなくなるのです。

ミトコンドリア

 では、どうして一部の人が感染症で苦しんだり、がんになって大変な目に遭っているのでしょうか。そこには理由があるのです。

 そのヒントになるのが、感染症罹患時の発熱現象です。がんになっても発熱が見られ、これを腫瘍熱と呼んでいます。発熱はミトコンドリアを活性化し、白血球の働きを引き出したり増強したりしています。

安保徹/新潟大学名誉教授、医学博士

安保徹/新潟大学名誉教授、医学博士

1947年、青森県生まれ。東北大学医学部卒業。現在、新潟大学大学院医歯学総合研究科教授(国際感染医学講座免疫学・医動物学分野)。米国アラバマ大学 留学中の1980年に「ヒトNK細胞抗原CD57に対するモノクローナル抗体」を作製。89年、胸腺外分化T細胞の存在を発見。96年、白血球の自律神経 支配のメカニズムを初めて解明。国際的な場で精力的に研究結果を発表し続け、免疫学の最前線で活躍
医学博士安保徹 公式サイト

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