ところが、従業員を過酷な環境で働かせていると「ブラック企業」の烙印を押されてブランドが大きく毀損した影響などもあり、客足が遠のいて業績が急下降。2014年3月期には上場以来初めて49億円の最終赤字に転落。翌15年3月期にはさらに赤字幅が拡大して129億円を記録した。
ネガティブな情報ばかりが流布してしまっているワタミだが、実際にメインブランドである居酒屋「和民」の店舗の現状はどのようになっているのだろうか。
そこで記者2名で、都内の中規模駅の駅前に構える「和民」に、祝日である11月3日の19時に足を運んでみた。
家族連れも
入店した19時時点でおよそ2~3割のテーブルが埋まっている程度の客入り。休日の夜ということを考えるとやはり寂しい。
だが少々驚いたのは、小学生や幼稚園児ほどの子供がいる家族連れが、確認しただけでも3組いたこと。かくいう記者も和民から足が遠のいていたクチなので、訪れたのは7、8年ぶりだったのだが、子供同伴で来店するお店というイメージは、以前はほとんどなかった。見ると290円(税別、以下同)でソフトドリンクが飲み放題となる「フリーキッズドリンク」というメニューもある。家族連れを取り込もうという施策の一端と思えるが、同店を見る限り一定の効果が上がっているようだ。
思っていたよりも断然よい?
さて、記者がこの日に利用した和民の感想は、「思っていたよりも断然よい。満足度もそこそこ」といったところである。
まず、和民といえば学生やサラリーマンが店内にひしめき、ガヤガヤとうるさい印象を持っていた。この日案内されたテーブルの周囲にあまりほかの客がいなかったということもあるだろうが、小さい声で話してもテーブルの向かいにいる連れとの会話が成立するほど落ち着いた空間であった。もっとも、これはあまり繁盛していないがゆえとも考えられる。
そして料理。以前は一品一品の単価は安いけれど、味や量に満足できなかったし、コストパフォーマンス面では疑問符がついていた。しかし、その印象をいい意味で裏切られたのである。