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政府は医療を成長産業にしようとしています。とてもいいことですが、医療が成長産業になるということは、医療でお金が回るということです。つまり、医療費がますます増加するということですから、その発想自体が、国民皆保険が崩壊するということを念頭に置いているとしか思えません。
そうであれば、非常識君が言うように「各自の責任で、民間保険会社の医療保険に加入すればよい」という立ち位置が実はバランスがよいように思えます。自分の健康は自分で責任を持つということです。高額な医療費が将来必要となったときに、それまで支払ってくれるような保険に入っておこうという発想です。
その前提には今の医療保険制度は崩壊するか、または国が最低限の医療のみ保障するという体制に変化します。確かにもっともな意見で、なぜ非常識君がこんなもっともな意見を言うのかとかえっていぶかしくなります。
家族が病気になることを想像できない
大切なことは、健康な時には自分や家族が病気になるとどうなるかということが想像できないという点です。または想像できても、今生きるのが精一杯な人、今食べるのが精一杯な人、今子供の教育費に少しでもお金を掛けたい家庭に、「将来の病気を予測して今から自己責任で保険に入れ」と勧めてもなかなかできないものです。ですから、ある意味強制的に保険料を徴収したり、税金から補填することで社会保障が成り立っているのです。そんな意味でこのもっともな発言は、非常識君の発言としたのです。
悩ましいですね。国民全体が同じ医療を受けられるという今の制度は限界でしょう。非常識君の発言は確かにもっともで、最低限の医療を国民全体が享受できる、つまり10年前の治療やジェネリック医薬品を用いた医療は国民皆保険で、それよりも新しい医療は自分の責任で民間の保険会社の保険に入るといった制度にならざるを得ないようにも思えます。そんなことにならないように、常識君の夢のような発言が現実となることを祈っています。新年ですから夢と希望を持って、経済のミラクルを願っています。
(文=新見正則/医学博士、医師)
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