食塩の過剰摂取が体に良くないということは、多くの人が知っているはずです。それなのに、どうして日本人は“塩分摂りすぎ状態”から脱却できないのでしょうか。
現在、日本人の一日の平均食塩摂取量は、男性11.1グラム、女性9.4グラムです(平成25年国民健康・栄養調査)。厚生労働省が食塩摂取の目標値としているのは男性9グラム未満、女性7.5グラム未満ですから、男女とも塩分の摂りすぎになっています。
塩分の過剰摂取を引き起こしている最大の原因は、「化学調味料(うまみ調味料)」と「エキス類」にあります。
市販されている大半の加工食品のうま味は、アミノ酸系(グルタミン酸ナトリウムなど)と核酸系(イノシン酸ナトリウムなど)といった複数の化学調味料とエキス(酵母エキスなど)でつくられています。化学調味料とエキスでつくられる味は、非常に塩分が高く濃厚です。これを日常的に摂取していると、濃厚な味が当たり前になり塩分が高くないと満足しなくなります。
塩分摂り過ぎを起こさないようにするには、まず化学調味料とエキスでつくられた濃厚味から解放されないといけません。特に子どもに食べさせるものについては、原材料表示をよく確認して「アミノ酸等」「エキス」の記載のないものを選ぶことです。子どものときから濃厚味に慣れてしまうと、塩分の摂りすぎだけでなく添加物の摂取量も増えることになりますから、十分な注意が必要です。
原材料表示に「アミノ酸等」とある商品では、グルタミン酸ナトリウムなど複数の化学調味料が使われています。弘前大学医学部によるラット実験では、グルタミン酸ナトリウムをたくさん食べた群ほど、緑内障にかかるリスクが高いといわれています。また、近畿大学医学部の森本宏医師によると、「敏感な人では3グラムのグルタミン酸ナトリウム(一般的なラーメン1杯に入っている量)でも、頭痛を自覚し症状は約1時間続く」(2002年5月22日付産経新聞記事)といいます。
「エキス」とは何か
「エキス」は添加物ではありませんが、エキスの中には化学調味料をうま味成分として加えてあるものもあります。チキンエキス、ビーフエキス、トマトエキス、酵母エキスなど、さまざまな種類がありますが、食品衛生法にエキスの定義はありません。どんな素材を使っているのか、また食品に含まれるエキスの量などについては、企業秘密にしている食品メーカーがほとんどです。