「GU」は、トレンドのデザインワークと「ユニクロ」以上の低価格路線をストロングポイントとして、若者を中心に人気のファストファッションブランド。ご存じの通り、素材にこだわったベーシックデザインで確固たる地位を築いている、ファストファッション業界の王者・ユニクロの兄弟ブランドである。GUはブランド立ち上げ当初こそ、悪い意味で“ユニクロの廉価版”というイメージがあったが、今では多くの固定ファンを獲得している。
さて、GUは昨年12月に「2020春夏 事業発表会」を開催。その会のなかで柚木治社長は、「2020年はGUにとって転換期」「生活者のリアルな声を聞き、おしゃれと使いやすさを両立した服を提供する」「最新のトレンドをGUらしく編集し、消費者の服の調達係を目指す」などと語っていた。
だがそんなGU、リーズナブルの追求によって、ときに“安かろう・悪かろう”の商品を生み出している。またトレンドにフォーカスするあまり、大人のビジネスパーソン向きではない商品も多く生み出してもいるのだ。
そこで今回はGUの春アイテムで、おすすめできない服をセレクト。「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が「この春、買ってはいけないGUの服5選」を選び、恋愛コラムニストで10年以上のファッションライター経験もある堺屋大地氏に、おすすめできない理由を解説してもらった。
今回、以下の3つを基準に選定した。
・ファッションビギナーが着るとダサくなる可能性が高いこと
・“最先端のおしゃれ”すぎて一般ウケしない場合があること
・無理に若ぶっているように見えるなどして女子ウケが悪いこと
では、「買うべき・買ってはいけない調査班」が選んだ「この春、買ってはいけないGUの服5選」を紹介していこう。
アノラックジャケット/990円(税別、以下同)
レトロスポーツをイメージさせるカラーが目を引く、オーバーサイズのアノラックジャケット。収納式のフードも付いている。カラーバリエーション(カラバリ)はブラック、ダークグリーン、ネイビーの3色展開。
「今のトレンドを意識しているのだと思いますが、大人男性が着るのはかなり危険です。シンプルにめちゃくちゃダサく見えるでしょう。たとえばカラバリのうちのネイビーは、ネイビーといいつつも身頃や腕の半分はパープルに切り替えられていて、差し色にレッドも入っているという配色。カラバリのブラックも、身頃や腕の半分はイエローです。これをおしゃれに着こなせるのは、10代後半~20代前半までのファッション玄人ぐらいでしょう」(堺屋氏)
デニムアノラックジャケット/1990円(※値下げ後価格)
こちらはデニム素材を使用したアノラックジャケットで、先ほど紹介したものと同様にオーバーサイズシルエットになっているのが特徴。収納式のフードも付いている。カラーバリエーションはライトブルー、ブルー、ネイビーの3色展開。
「先ほど紹介したレトロスポーツ配色のアノラックジャケットとは違い、こちらはデニムの色合いの単色なので、正直、こちらのほうが“まだマシ”。とはいえ、先ほどのアノラックジャケットと比べると1000円高いですし、そもそもオーバーサイズのこの手のジャケットを、大人男性が着こなすのは至難の業……。“まだマシ”というだけで、おすすめはできません」(堺屋氏)
オープンカラーシャツ(長袖)(グレンチェック)/1990円
オーバーサイズシルエットで仕立てたオープンカラーシャツで、今っぽい抜け感があるのが特徴。滑らかな肌触りの生地を採用している。ボタンを開けて着こなすのもよし、閉めて着こなすのもよし。カラバリはグレー、ベージュ、ネイビーの3色展開。
「グレンチェックは、落ち着いた大人男性には似合うイメージがありますよね。ただし、ジャケットやスラックスならばいいのですが、シャツのグレンチェックはかなり着こなしの難易度が上がってしまうんです。とりわけこのアイテムはオーバーサイズで、昨今トレンドのシルエットになっているため、よっぽどファッション好きな若者以外は着こなせず、ダサく見られてしまうでしょう」(堺屋氏)
ウォッシャブルコットンベスト/1490円
コットン100%のざっくり編地で、太めリブのボリューム感があるベスト。マリンセーターのディテールを落とし込んだのが特徴となっている。カラバリはダークグレー、カーキ、ネイビー、パープルの4色展開。
「首回りが狭く、ノースリーブで身頃が長い特徴的なデザインとなっていて、シャツやスウェットなどとレイヤードすることが前提のトップス。現物を見ていただくとわかると思いますが、いわゆる“ベスト”と聞いて想像するアイテムとはだいぶ違うと思います……。センスのある若者が着ればおしゃれになるのかもしれませんが、30代以上の大人男性が着たらほぼ間違いなく、女性たちにドン引きされるんじゃないでしょうか。なかでもパープルは絶対に手を出しちゃいけませんね」(堺屋氏)
デニムジャケットSPOD「2001年宇宙の旅」/1990円(※値下げ後価格)
スタンリー・キューブリック監督が世に放った、不朽のSF映画『2001年宇宙の旅』とコラボしたシリーズのデニムジャケット。はやりのビッグサイズGジャンとなっている。カラバリはブラック、ライトブルー、ブルーの3色展開。
「前身頃にはシンプルにロゴが配されているだけですが、後ろ身頃には作品の名シーンのプリントがデカデカとあしらわれているんです。ただでさえ大人男性がビッグシルエットのGジャンを着こなすのはハードルが高いんですが、そこにプラスアルファでインパクトのあるプリントがあしらわれているので、あまりに若々しすぎますね。ちなみに、『2001年宇宙の旅』コラボシリーズのなかのスウェットパーカは、『買うべき』のほうで紹介しています。つまり、『2001年宇宙の旅』がダサいというわけではなく、どんな服にプリントされているかが問題ということですね」(堺屋氏)
――「GUの服がダサい」というわけではなく、「ファッションに詳しくない大人男性が着るとダサくなってしまう」というアイテムが、中心だったことがわかるだろう。GUはそもそも最新トレンドにフォーカスして、おしゃれ好きの若者に刺さるようなデザインワークを重視しているブランド。おしゃれにそこまで興味がない大人男性がGUの服を着るなら、GUのなかでも奇をてらっていないベーシックデザインの物だけ選ぶといいのではないだろうか。
※情報は2020年3月5日現在のものです。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」 from A4studio)