100円ショップの最大手として、今も業界を牽引している「ダイソー」。大創産業が運営するこのブランドは、100円という格安設定ながら、「無印良品」など中価格帯ブランドも顔負けの商品を出すなど、その勢いは留まるところを知らない。
ダイソーの人気は、1990年代初頭のバブル崩壊に端を発した、世間の格安需要に呼応する形で伸びてきた。そして今日、国内で3367店舗、国外では28の地域と国に2175店舗も展開する一大ブランドなっている(2019年3月現在)。
しかし、100円ショップといえば、残念ながら“安かろう・悪かろう”の商品が少なくないのも事実。そこで今回、「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」は、躍進を続けるダイソーのラインナップに潜む、購入を後悔しかねない“残念商品”を独自にリサーチ。「この秋、買ってはいけないダイソーのグッズ」を5つ選出した。納得できる買い物のためにも、ぜひこの記事の情報を役立ててほしい。
【この秋、買ってはいけないダイソーのグッズ5選】
レインジャケット(フリー)/110円(税込、以下同)
猛烈な暑さも収まってきたこの頃だが、季節の変わり目は天気が安定しないもの。近年の温暖化で増えているという説もあるゲリラ豪雨は、秋口になった今でも多く発生している。そんなときに便利なのがレインコートなのだが、ダイソーのものは避けたほうがいいだろう。
というのも、この「レインジャケット(フリー)」は、身長160~170cm用のフリーサイズのレインコートなのだが、広げてみるとその着丈が約80cmしかないのだ。これでは適正身長の人が着たとしても下半身がびしょ濡れになってしまうことは間違いないだろう。
また、材質はポリエチレン(EVA配合樹脂)なのだが、素材が薄く、着てみるとかなり心許なさがある。加えてボタン周りもチープで、不安感を煽るのは否めない。
音がクリアに聴こえる 密閉型ステレオイヤホン/110円
涼しくなってきたこの季節、ジョギングなどでスポーツの秋を楽しむ人も多いのではないだろうか。そんなジョギングのお供といえばイヤホン。音楽を聴きながら走ると気分も盛り上がるというものだが、ダイソーのこのイヤホンはおすすめできない。消耗品としてのイヤホンの性質と、110円という破格の安さでつい手が伸びがちになるが、このイヤホンは欠点だらけなのである。
まず、その“壁の向こうで鳴っているような音の遠さ”が一番の問題だろう。「音がクリアに聴こえる」と謳っているが、信じないほうが賢明だ。さらに音質でいえば、低音がほぼ感じられずシャカシャカするうえ、どうにも右側の聞こえが悪い印象がある。筆者が購入して試用した物がたまたま不良品だった可能性もあるが。
また、フィット感の面でも、人間工学に基づいた近年のイヤホンとはほど遠く、着け心地は良くなかった。
ビネガー&オイルボトル(310ml)/220円
美味しい食材が揃った食欲の秋に自炊にチャレンジしてみる方もいるだろう。そんな場合は便利なキッチングッズも揃えたいものだが、この「ビネガー&オイルボトル(310ml)」を使うなら、購入したままの容器のほうがまだいいかもしれない。
この商品、いくつか問題点があるのだが、まずは本体キャップ部分の密閉性だ。3重になっているゴム製の内蓋が付いているのだが、これがどうにもゆるく、キャップに触るとグラグラと取れそうになるのだ。当然密閉性も低く、連続で使用していると液漏れは免れない。
次は、先端の注ぎ口のキャップ。なんとこれも“ゆるゆる”なのである。しかも液漏れで汚れやすいのに食洗機は非対応。220円という100円ショップでは高めの値段設定を考えると、コスパは良くないと言わざるを得ない。
バンブーキッチン しゃもじ/110円
同じく食欲の秋に向けた商品で要注意な物がある。それがこの「バンブーキッチン しゃもじ」だ。しゃもじといえば、ご飯を炊いた際に欠かせないキッチングッズだが、購入の際には注意したいポイントがある。それがご飯のくっつき具合だ。
しゃもじはご飯がつきにくいに越したことはない物だが、その点からするとこの「バンブーキッチン しゃもじ」は大幅減点と言わざるを得ない。というのも、しゃもじ自体にかわいらしい目と口の模様がくりぬかれているのだが、そのデザインがあだとなり、すき間にご飯粒が容赦なく入り込むのである。
さらに、本体のカッティングも甘くガタガタ。一部切り口には竹のケバまで残っている始末。さらに、煮沸消毒、たわしやクレンザーの使用が禁じられているなど、衛星面でも制約が多いのは泣きっ面に蜂という印象だ。
トイレ洗浄剤 錠剤タイプ/110円
季節の移り変わりには、部屋の汚れもきれいに掃除して心機一転、気分を入れ替えたくなるもの。しかし、手入れに手間の掛かるトイレ周りなどの掃除は、なるべくなら楽かつ効率的に済ませたいのが人情。そして、この「トイレ洗浄剤 錠剤タイプ」もそんなシーンで活躍するアイテムになるはずだった。
だが、実際はかなり残念な仕上がりになってしまっているのである。まず、使用する際に包装紙ごとハサミで一個ずつ切り分けなければならないのだ。この手間は地味だがかなりフラストレーションが溜まる。
また、肝心の洗浄能力に大きな不備はないものの、その使用時の注意に驚愕の欠点がある。それは1錠トイレの水たまりに入れたら5~10時間はトイレが使えないということ。大手メーカーの製品が2時間程度であることを考えると、その時間の長さがネックになることは言わずもがなだろう。
我々の暮らしを支えてくれるアイディア商品を、日々生み出してくれているダイソー。その多くが実際便利で値段もお手頃な嬉しい物ばかりだが、全部が全部、完璧というわけではない。今回紹介したような「買ってはいけないグッズ」を避けつつ、今年の秋は賢い買い物をダイソーで楽しんでほしい限りだ。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)