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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

白米偏食は死の危険!加工食品は食べる価値ゼロ、間違った食事で脳の異常や深刻な病気

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 脚気という病気は手足のしびれからはじまり、足のむくみが出て、やがて食欲不振となり、動悸がしたり、さらに進行すると歩行困難となり、最後には心不全で死亡してしまいます。

 海軍と同じように、陸軍も麦飯を導入すれば間違いなく脚気によって命を奪われる兵士の数は減ったはずです。しかし森鴎外は自説に固執し、兵士に麦飯を供給しなかったのです。それどころか、脚気がビタミンB1不足によって起こるということがわかって以降も、生涯にわたって誤りを認めませんでした。

 念の入ったことに森鴎外は、日清戦争後に『衛生新篇』という書物を刊行しています。この本は1000ページ近い大作ですが、その中には脚気への言及は一切なかったそうです。どうしても脚気の原因が栄養にあるということを認めたくなかったのでしょう。

栄養学を軽視する日本

 なぜここまで頑ななのかと不思議に思いますが、結局のところこの騒動以来、日本においての栄養学は学問的に隅に追いやられることになります。そしてそれは今でもあまり変わりがありません。欧米などの先進国において栄養学は、医学の一系統として扱われていますが、日本では家政学のカテゴリーに入ります。知人の医師に聞いても、医療現場では栄養学的な議論はしない、というのがお決まりのようです。入院患者などの食事に関する指示出しも医師からの一方的なもので、管理栄養士でさえ口出しはできないのが現状です。

 日本では、さまざまな社会現象、事故、犯罪に、食事や栄養というものがどれほど深くかかわっているかが議論されることもなく、原因解明もなされないのです。犯罪学、犯罪社会学といった学問分野がありますが、研究者は犯罪者たちの脳の異常に気づいています。そして、脳の異常には食事が多大な影響を与えていることにも気づいているようですが、肝心の食事内容に言及する、言及できる栄養学者がいないというのが現状です。そのため、犯罪と食事の関連性は明らかになりません。もっと研究を進めなければいけない分野だと思います。

 たとえば、低血糖、あらゆる食べものに含有されてしまっている化学物質、カドミウム・鉛・水銀などの有害ミネラルと体に必要な有効なミネラルの違い……、挙げれば切りがありませんが、これらがすべて脳の異常に関連を持つということは、すでに明らかになっています。

 学問というものが、本当に人間の幸福や社会の発展のためにあるならば、栄養学は医学の一分野として認められてしかるべきで、そうなれば犯罪のみならず糖尿病をはじめとした生活習慣病と呼ばれる疾患、鼻・耳・目などの感覚器官にかかわる疾病、うつ病や子供たちに多発するADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)の治療にも光明が見いだせるかもしれないと思うのです。

 それがいつ訪れるかわかりませんので、私たちは日常の食事の中で加工食品の比率を下げ、精製度の低い食品を選び、できるだけ自然に近い食べものを多く食べることを心がけるようにしましょう。それは誰のためでもなく、自分と家族のためです。過度に加工された食品が食べるに値しないということを、もっと多くの人が知るべきですし、すでに知った方はそれを伝えるようにすべきです。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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