シンプルなデザインが受け、強豪ひしめく100円ショップ業界でも堅実な立ち位置を維持し続けるブランド「セリア」。使い勝手の良い商品ラインナップも人気の秘密といえるだろう。
おしゃれなブランドイメージのおかげか、“日用品を揃えるならセリアがいい”という固定客も多い。そうした下支えもあってか、店舗数も2019年3月末の時点でFC店が49店舗、直営店が1543店舗で合計1592店舗を展開するなど、高水準を維持している。
また、新型コロナウイルスの影響で経営が苦しくなるメーカーや小売店も多いなか、セリアの5月の既存店の売り上げは前年同月比8.3%増を記録している。この数字を見ても、人々の生活に欠かせない存在として重宝されていることが見えてくる。
だが、良品多しなイメージのセリアにも「これは正直どうなんだろう……」と首を傾げてしまうような残念アイテムは少なからずあるもの。今回「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」はそんな「この夏、買ってはいけないセリアの残念グッズ4選」を独断でセレクトした。
Q-BAN コップホルダー2/110円(税込、以下同)
湿気の多くなってくる夏は、いつも以上に水回りの清潔さには注意しておきたい。特に毎日使う洗面所の歯ブラシ用のコップなどは、気をつけていないとすぐに雑菌の温床になってしまうため、なんとか工夫を凝らして綺麗な状態を保ちたいものだ。そんな時は、吸盤式のコップホルダーを使えば、コップを逆さまにかけられるので、水切れも良く安心のはず。
しかし、セリアの「Q-BAN コップホルダー2」はそうもいかないようだ。この商品は、吸盤の付いたフックパーツと、そのフックに引っ掛けられる穴の空いたコップのセット商品。実際110円という低価格でこの2つが同時に手に入るコストパフォーマンスは好印象だろう。
しかし、実際に使ったユーザーからは“吸盤が落ちる”という声が多数挙がっているのだ。おそらく、コップを逆さにしてフックに引っ掛けると、吸盤上部に圧がかかり、剥がれやすくなってしまうのだろう。実際に試してみたところ、湿気が多いところでは落ちることが何度かあった。条件によるのかもしれないが、落下率は高い模様。買い控えたほうが無難だろう。
洗剤が入るキッチンブラシ/110円
次も夏場の水回りから、キッチンで活躍するという触れ込みの「洗剤が入るキッチンブラシ」を紹介したい。片手に収まるサイズのこの小さなブラシは、洗い物時に毎回洗剤をスポンジやブラシに垂らす手間を省いてくれるというアイテムだ。
しかし、購入して使ってみたところ、いくつか気になるポイントが散見された。一つ目はプッシュ部分の押しづらさだ。ゴムと樹脂の中間のような性質のエラストマー製の蓋がそのままプッシュ部分になっているのだが、これが思いのほか固い。ただでさえバネの反発が強めなので、洗っている途中、洗剤でヌルヌルになった手でこのプッシュ部分を押すと、ブラシが手から滑って落としてしまうのだ。
また、ブラシ部分がゴシゴシ洗えるハード部分とソフトタッチの泡もち部分に分かれているのだが、この泡もち部分が厄介。ハード部分より少し細いブラシと妙に毛羽立った極小ブラシの2種構造になっており、この極小ブラシの毛が抜けまくるのだ。網目状のザルなどを洗うと、網目に毛が絡まってしまうこともしばしばだった。売り文句の通りの機能性と使いやすさを兼ね備えていれば、「セリアの買うべきアイテム夏編」に名を連ねることもできそうなのだが……。残念だ。
便利な3機能2色ボールペン/110円
徐々に新型コロナウイルスの自粛も解除され、慣れ親しんだデスクワークに戻りつつある人も多いことだろう。そんな人のなかに、セリアの「便利な3機能2色ボールペン」の購入を考えている人がいるのなら、一度立ち止まってこの記事を読んでみてほしい。
この商品、4つのインクが入ったペンが1パックに3本も入ったお得な商品に見えるのだが、その内容をよく見てみると、思わず「これは……」と尻込みしてしまうはずだ。というのも、1本のボールペンに付いているインクが「0.7mmの赤インク」「0.7mmの黒インク」「1.0mmの黒インク」「0.7mmの黒インク」なのだ。そう、「0.7mmの黒インク」が2つあるのだ。
購入者からしてみれば、同じものより違う太さ、もとい、違う色のインクを入れてほしかったという印象。パッケージで「1本4役」でなく、「1本3役」と正直にカミングアウトしているだけ良いようにも思えるし、この商品の「0.7mmの黒インク」を気に入っている人にとってはありがたいのだろうが、バリエーションの多さを求めるなら他の4色ボールペンを買ったほうが便利かもしれない。
PETカラフェ 1.0L/110円
暑い季節、冷蔵庫でキンキンに冷えたお茶を飲むのは喜びだ。ここ最近の100円ショップでは、そんなお茶を入れておく容器の品揃えも増えてきているが、セリアの「PETカラフェ 1.0L」は避けたほうがいいかもしれない。
こちらの商品、実は去年の「セリアの買ってはいけないアイテム夏編」でも紹介したアイテムなのだが、今年の夏もやはり選ばざるを得なかった。
その理由は蓋部分にある。注ぎ口を塞ぐプラスチック製の蓋の固定が甘く、カチッとハマるような安心感のあるつくりではないのだ。これだけならまだしも、問題は肝心のお茶を注ぐ際に開いた蓋が固定されていないため、注ぎ途中にパタンと蓋が降りてきてしまうのだ。これでは、最悪注いでいるお茶が降りてきた蓋で飛び散ってしまう、なんて惨劇を招きかねない。避けておくべき商品といえるだろう。
セリアが、おしゃれで機能的な良品を数多く取り揃えていることは誰もが納得している通りだし、間違いはない。しかし、すべてが完璧ではないのもまた事実だ。今回選出した商品のような“残念アイテム”の購入は避けて、今年の夏は賢い買い物をしてみてほしいものだ。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)