ビジネスジャーナル > ライフニュース > 一部の薬用石けん、抗菌効果なし?  > 2ページ目
NEW
渡辺雄二「食にまつわるエトセトラ」

一部の薬用石けん、抗菌効果なく危険?米国で一部販売禁止の抗菌成分、うがい薬や歯磨き剤に含有

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト

薬用石けんは必要ない

 日本の旧厚生省(現厚生労働省)もトリクロサンの危険性を認識していたようで、表示指定成分のひとつとして挙げています。表示指定成分は、アレルギーなどの肌トラブルを起こす可能性があるとして厚生省がリストアップした化学物質で、全部で103種類あります。それらが化粧品や医薬部外品に含まれていた場合、表示が義務付けられていました。01年に化粧品の全成分表示が義務付けられたため、この制度はなくなりましたが、表示指定成分として挙げられた化学物質が危険性の高いものであることに変わりはありません。
 
 一方、トリクロカルバンは主に薬用石けんに使われていますが、トリクロサンと同じく有機塩素化合物の一種であり、同様に表示指定成分のひとつとして挙げられています。したがって、皮膚アレルギーなどを起こす可能性があるということです。

 日本の場合、トリクロサンやトリクロカルバンを配合した薬用石けんは、今でもドラッグストアなどで売られています。しかし、米国の状況を見る限りでは、安易な使用は控えたほうがよさそうです。

 もともと薬用石けんは、それほど必要ないものなのです。なぜなら、手などに付いた細菌やウイルスは、水道水でよく洗えば落とすことができるからです。特にウイルスの場合、細胞に入り込むと生物として活動することができますが、細胞の外では無生物、すなわち単なるモノと同じなのです。つまり、手や皮膚の表面に付いたウイルスは、ごくごく微小な埃と同じようなものなのです。ですから、水道水でよく洗えば落とすことができるのです。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

1954年9月生まれ。栃木県宇都宮市出身。千葉大学工学部合成化学科卒。消費生活問題紙の記者を経て、82年からフリーの科学ジャーナリストとなる。全国各地で講演も行っている

一部の薬用石けん、抗菌効果なく危険?米国で一部販売禁止の抗菌成分、うがい薬や歯磨き剤に含有のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!