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飛田砂織「100年寿命時代のウェルネスビーイング」

卵巣機能の低下、DHEA投与に改善の効果か…妊娠の確率を高める効果に期待

文=飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士
卵巣機能の低下、DHEA投与に改善の効果か…妊娠の確率を高める効果に期待の画像1
「Getty Images」より

 DHEA(dehydroepiandrosterone;デハイドロエピアンドロステロン)は主に腎臓の上にある副腎という小さな組織でつくられます。DHEAはエストロゲンやテストステロン、プロジェステロンといった重要な性ホルモンの上位に位置するため、それらの原料としての役割のほか、それ自体はあまり大きな役割を負っていないようにも見えます。

 DHEAは多くの人で40才くらいから減り始め、70才までに4分の1に減るとか、9割減少するなどともいわれることがあります。DHEAの減少が起きてもあまり特異的な症状はないのですが、一般的には認知機能の低下、免疫機能の低下、耐糖能の悪化、心血管系疾患の発生などに関連している可能性があると考えられています。

 DHEAは、ストレスホルモンであるコルチゾールと逆の相関を示すとも考えられています。つまり、ストレスが強くコルチゾールが高まると、DHEAは減ってしまうといった関係です。コルチゾールは免疫を弱める方向に働くため、DHEAが適度に存在することで免疫機能を高めることが期待できます。

 近年、生殖医療が発展を遂げていますが、通常の体外受精が困難な方における卵巣機能の低下に対するDHEA投与の効果について、さまざまな研究が行われています。DHEAの内服をこのような治療に併用することで出生率を高める可能性があると指摘されていますが、まだこれからのさらなる研究が必要です。

(文=飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士)

【参考文献】

Nagels HE et al. Androgens (dehydroepiandrosterone or testosterone) for women undergoing assisted reproduction. Cochrane Database Syst Rev. 2015 NOV 26 ;( 11): CD009749 doi: 10.1002/14651858.CD009749.pub2.

飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士

飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士

美容皮膚科医・アンチエイジング医師 医学博士
東京女子医科大学附属成人医学センター非常勤講師(美容皮膚科)
群馬大学医学部卒業。東京大学などの救命救急センターで救急医として働いた経験や、激務で肌のトラブルを経験したことから、健康を保つための予防医療、美容皮膚治療の大切さを痛感。
日本初のレーザーなどの美容皮膚治療に特化した大学附属の美容皮膚科、東京女子医科大学附属青山女性医療研究所美容医療科(現在は成人医療センターに移転)助教(のち非常勤講師)を経て、2015年に、自らのクリニック、美容皮膚科・アンチエイジングクリニックである『クリニックシュアー銀座』を開設。

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