卵巣機能の低下、DHEA投与に改善の効果か…妊娠の確率を高める効果に期待
DHEA(dehydroepiandrosterone;デハイドロエピアンドロステロン)は主に腎臓の上にある副腎という小さな組織でつくられます。DHEAはエストロゲンやテストステロン、プロジェステロンといった重要な性ホルモンの上位に位置するため、それらの原料としての役割のほか、それ自体はあまり大きな役割を負っていないようにも見えます。
DHEAは多くの人で40才くらいから減り始め、70才までに4分の1に減るとか、9割減少するなどともいわれることがあります。DHEAの減少が起きてもあまり特異的な症状はないのですが、一般的には認知機能の低下、免疫機能の低下、耐糖能の悪化、心血管系疾患の発生などに関連している可能性があると考えられています。
DHEAは、ストレスホルモンであるコルチゾールと逆の相関を示すとも考えられています。つまり、ストレスが強くコルチゾールが高まると、DHEAは減ってしまうといった関係です。コルチゾールは免疫を弱める方向に働くため、DHEAが適度に存在することで免疫機能を高めることが期待できます。
近年、生殖医療が発展を遂げていますが、通常の体外受精が困難な方における卵巣機能の低下に対するDHEA投与の効果について、さまざまな研究が行われています。DHEAの内服をこのような治療に併用することで出生率を高める可能性があると指摘されていますが、まだこれからのさらなる研究が必要です。
(文=飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士)
【参考文献】
Nagels HE et al. Androgens (dehydroepiandrosterone or testosterone) for women undergoing assisted reproduction. Cochrane Database Syst Rev. 2015 NOV 26 ;( 11): CD009749 doi: 10.1002/14651858.CD009749.pub2.