更年期の女性、内臓脂肪型肥満に要注意…「生理活性物質」を増やす生活習慣とは?
ホルモンとは体の中でつくられ、血流に乗ってさまざまな器官に到達し、そこで代謝や分化、免疫など、健康維持のためいろいろな機能を調節している物質です。100種類以上もあるといわれ、まだ見つかっていないホルモンもあります。
脂肪細胞から分泌されるホルモンにはいくつかありますが、今日はアディポネクチンという生理活性物質が、私たちの身体に対してメタボリックシンドロームなど成人病の予防に働いているということをご説明したいと思います。
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌される生理活性物質で、動脈硬化や糖尿病を予防する善玉物質として知られ、研究されています。アディポネクチンには脂質代謝や糖代謝をコントロールする大切な役割があります。血糖をコントロールするインスリンの感受性を高めることで、すい臓からのインスリンの産生を節約して糖尿病になりにくい状態にすることが期待できます。
また、肝臓に脂肪などが沈着するのを防ぎます。動脈硬化になる過程で傷んだ血管を修復したり、コレステロールの一種である悪玉コレステロールLDLが動脈壁にくっつくのを防いだりすることで、動脈硬化を予防することが期待できます。
アディポネクチンが減ってしまうと、糖尿病予備軍ともいえるインスリン抵抗性が出る、血糖が多くなりやすくなる、脂質代謝異常が起きやすくなる、動脈硬化が進行しやすくなる、糖尿病リスクが上昇する、(体内で持続的な)炎症が起こりやすくなるなどのデメリットがあります。
参考に挙げた論文では、アディポネクチンが減ってしまうと、体内のさび付きともいえる酸化ストレスも上昇し、このアディポネクチンの減少、酸化ストレスの2つが相互に働いて、肥満に関連した代謝異常と心血管系の病気の原因のひとつになる、と述べています。
アメリカ抗加齢医学会では、糖尿病になりやすくなる前段階として、アディポネクチンが減少することが初期のマーカーとして重要であると説明しています。空腹時血糖やヘモグロビンA1c、空腹時のインスリンはまだ変化していない時期です。
内臓脂肪を減らす
このアディポネクチンを増やすには、内臓脂肪を減らすとよいとされています。適度な運動や食生活の改善で内臓脂肪を減らすことで、アディポネクチンが増えることが期待できます。