お酒、認知症・がん・脳梗塞などの病気予防効果…長寿遺伝子も活性化
「酒は百薬の長」と昔からいわれている。江戸時代の慶応元年に生まれ、昭和61年に120歳で亡くなった徳之島の泉重千代翁は、毎日黒糖の焼酎を飲んでいたという。
横山大観画伯は、毎日日本酒2升(3.6リットル)を飲みタバコ100本を吸っていたが、「あまりに多すぎる」ということで、80歳のときにそれぞれ半分に減らしたというが、89歳まで長生きされた。
梅原龍三郎画伯も、酒好きの父に勧められ、少年時代から酒に親しんだとのことだったが、97歳の天寿を全うした。
私が長寿の調査に5回赴いたコーカサス地方(ジョージア共和国)の百寿者たちは、毎日赤ワインをかなり多量に飲んでいた。
このように、アルコールは健康長寿に役立ち「百薬の長」になり得ると推測される。しかし医学的には、1日に日本酒なら2合、ビールなら大瓶2本、ウイスキーダブルなら2杯、ワインならグラス2~3杯、焼酎なら2~3合(水またはお湯で割った場合)が適酒とされている。とはいっても、アルコールに強い体質と弱い体質の人がいらっしゃるので、一概には言えない。
強い人で、これ以上飲んでも「翌朝二日酔いがない」「健康診断の肝機能検査の項目にあるガンマGTP(正常範囲70mg/dl)が正常」なら「2合以上」でも「適酒」ということになる。
「適酒」をすると、
(1)動脈硬化を防ぐ善玉(HDL)コレステロールが肝臓内で多量に合成される。
(2)血管内皮細胞からは、ウロキナーゼ(血栓溶解酵素)が多く産生される。
(1)(2)により、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞の予防や改善になる。
脳を活性化も
その他、「適酒」により、
(3)ストレスを発散し、睡眠を良くする。
(4)がんを抑制する。
デンマークの防疫研究所で、2万8000人の男女を30年間、追跡調査したところ、週にグラス1~13杯のワインを飲む人は25%、週にグラス14杯以上のワインを飲む人は50%、肺がん発症のリスクが低下すると発表している。