お酒、認知症・がん・脳梗塞などの病気予防効果…長寿遺伝子も活性化
(5)糖尿病のコントロールを良好にする。
日本臨床内科医会が会員医師1249人を通じ、1万2821人の糖尿病患者とアルコールの摂取量を調べた。血糖のコントロールの良否を表すHbA1C(2~3カ月の血糖の平均を表す=3.5~5.8%が正常値)の値と、飲酒量を調べたところ、
・非飲酒者:HbA1C 7.12%
・1合未満の人:同6.93%
・1~3合飲む人:同7.03%
・3合以上飲む人:同7.31%
という結果が出た。「3合未満の飲酒なら、むしろ血糖のコントロールが良好」ということになる。
(6)脳を活性化し、認知症やアルツハイマー病を防ぐ。
フランスのボルドー大学のオウゴゴゾ博士らは、65歳以上の3777人を調査したところ、赤ワインを毎日3~4杯飲む人は非飲酒者に比べて、認知症やアルツハイマー病の発症が4分の1以下だったと発表。アルコールが脳の血流をよくするから、とのこと。
(7)胃液の分泌をよくして、食欲を増す。
(8)赤ワインのレスベラトロールが長寿遺伝子を活性化する。
「空腹」により、細胞内の「Sirtuin(別名、長寿)遺伝子」が活性化されることは、米マサチューセッツ工科大のL.ギャラン教授が2000年に発表している。
赤ワインの紫の色素である「レスベラトロール」も、この長寿遺伝子を活性化するという。
アルコールの種類によっても、効能に特長がある。
・焼酎…ウロキナーゼ産生能力が一番強い
・白ワイン…食中毒菌(E.コリー、サルモネラなど)を殺菌
・赤ワイン…レスベラトロールが心筋梗塞を防ぐ。また長寿遺伝子を活性化する
・ラガービール…ミネラル・シリコンを多く含み、骨を強くする
・黒ビール…大麦由来の水溶性食物繊維を含み、整腸作用に優れる
・ウイスキー…気持ちをリラックスさせるGABAの働きをよくする
昔の人は、名言を残している。
「一杯は人酒を飲む、二杯は酒酒を飲む、三杯は酒人を飲む」
くれぐれも飲み過ぎにご注意を。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)