インターネット技術の発達によって、誰もが簡単に情報を入手できるようになりました。その一方で、誰もが簡単に情報を発信することもできるようになりました。その結果、ネット上には膨大な情報が、それこそ洪水のように溢れかえっている状況になっています。
たとえば検索サイトのグーグルで「がん」「治療」というキーワードで検索すると、この原稿を執筆している1月19日現在「2170万件」の情報がヒットします。物理的にすべての情報に目を通すことは不可能です。そのため、検索エンジンを運営している企業側は、利用者が正確で有益な情報にアクセスしやすいように、どのようなサイトを検索結果の最初のほうに表示させるかを考慮して仕組みをつくっています。
逆に、情報を発信する側は、検索された時に自分の情報が上位にヒットするよう工夫する必要が出てきます。なぜならば、検索された時に上位にヒットしなければ、誰からも情報を見てもらえず、見てもらえない情報はないに等しいことになってしまうからです。
そのような背景から、情報の内容に関する科学的妥当性や正確性は二の次で、検索エンジンの仕組みの裏をかくように、とにかく検索結果の上位にくるような手法を駆使して健康・医療情報を発信していた企業が相次ぎ、サイトの閉鎖に追い込まれたことが話題になりました。
・2016年11月29日付朝日新聞デジタル記事『DeNAが医療・健康サイトを非公開に 無断利用や誤り指摘で』
・同年12月1日付毎日新聞記事『DeNA 医療情報サイト非公開 信頼性疑問、都も問題視』
・同年12月1日付日経産業新聞記事『モラルなし DeNA医療情報サイト』
インチキサイトが閉鎖されれば問題は解決するか?
では、今回の事例のように大企業が不正確な情報が掲載されているサイトを閉鎖したことで、ネット上の情報は正確で有益なものばかりになるのでしょうか?