個人的な見解ですが、今後も不正確な情報は発信し続けられていくのではないかと思います。前述の通り、ネット技術の発達によって、誰もが簡単に情報を発信することができます。これは、企業のような組織だけではなく、たったひとりの個人でも可能です。ですから、世の中に悪意を持った人がいる限り、不正確な情報は消えてなくならないことになります。
そうなると、情報を検索する利用者側が、情報を見極める力を身につけたり、検索方法を工夫したりすることが必要になってきます。
本連載では、正確な情報の見極め方や人間の持つ認知バイアスについて繰り返し紹介してきました。宣伝になってしまいますが、筆者がかかわっている厚生労働省委託事業『「統合医療」情報発信サイト』でも「情報を見極めるための10か条」というコンテンツを作成しています。
【情報を見極めるための10か条】
1. 「その根拠は?」とたずねよう
2. 情報のかたよりをチェックしよう
3. 数字のトリックに注意しよう
4. 出来事の「分母」を意識しよう
5. いくつかの原因を考えよう
6. 因果関係を見定めよう
7. 比較されていることを確かめよう
8. ネット情報の「うのみ」はやめよう
9. 情報の出どころを確認しよう
10. 物事の両面を見比べよう
ですが、膨大な量の情報一つひとつに対して、10か条の項目をすべてチェックしていく作業はなかなか大変です。では、解決策はないのでしょうか?
情報化社会の荒波に飲み込まれないために必要なこと
前述の「情報を見極めるための10か条」で、あえて一番重要なものを1つだけに絞るのであれば、「9. 情報の出どころを確認しよう」になるのではないかと個人的には考えます。具体的には、その情報は「誰が」発信したものなのかをチェックするだけの簡単な方法です。
たとえば、正確な情報の発信元の代表的な例として「厚生労働省・消費者庁などの行政機関」「大学などの学術研究機関」があります。そして、各機関は情報発信のためのサイトを作成し、管理・運営をしています。その際、各サイトには機関や組織の種別によって、特定のドメイン名(インターネット上の住所に相当)が使われています。
「go.jp」:日本の政府機関や各省庁所管の研究所など
「ac.jp」:高等教育機関、学術研究機関など