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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

無責任で間違ったカロリー制限&栄養制限ダイエット法が寿命を縮める!

文=熊谷修/人間総合科学大学教授

「老化が顕在していない20~30代からのカロリー適正化による肥満の予防は、余命に好影響を及ぼすかもしれない」

 この動物実験は、カロリー過剰摂取の有害性を示しているのである。もっとも米国では、成人国民の30%以上(年齢調整推計値)がBMI30以上である。糖質、脂質カロリーの超過剰摂取の肥満超大国の国民は、この実験の自由食グループに相当するかもしれず、この動物実験の価値はそれなりにあるといえる。

 米国人には適した研究成果かもしれないが、日本人のカロリー摂取は比較にならないほど少ない。日本ではこの20年間、カロリー摂取量は減り続けている。その結果、女性のBMIは低下傾向である。しかし男性のBMIはやや増加傾向である。日本人に男女異なる食事をする習慣はない。男性のBMIの増加傾向は、生活活動や運動量の減少によるものと容易に推定できる。

 カロリー摂取に関連する健康問題を取り扱った動物実験の研究成果の価値は、その国や地域の栄養事情によって決まるのである。ライフスタイルへの外挿には十分注意を要する。
(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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