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「老化が顕在していない20~30代からのカロリー適正化による肥満の予防は、余命に好影響を及ぼすかもしれない」
この動物実験は、カロリー過剰摂取の有害性を示しているのである。もっとも米国では、成人国民の30%以上(年齢調整推計値)がBMI30以上である。糖質、脂質カロリーの超過剰摂取の肥満超大国の国民は、この実験の自由食グループに相当するかもしれず、この動物実験の価値はそれなりにあるといえる。
米国人には適した研究成果かもしれないが、日本人のカロリー摂取は比較にならないほど少ない。日本ではこの20年間、カロリー摂取量は減り続けている。その結果、女性のBMIは低下傾向である。しかし男性のBMIはやや増加傾向である。日本人に男女異なる食事をする習慣はない。男性のBMIの増加傾向は、生活活動や運動量の減少によるものと容易に推定できる。
カロリー摂取に関連する健康問題を取り扱った動物実験の研究成果の価値は、その国や地域の栄養事情によって決まるのである。ライフスタイルへの外挿には十分注意を要する。
(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)
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