花粉症と口臭の悪化については意外に知られていないが、以外にも密接な関係があった。
日本は花粉で悩む方が多く、3人に1人が花粉症。その花粉症を持つ108人の方にアンケートを行ったところ、花粉症の時期に口臭が悪化すると答えた人が実に72%もいた(厚生労働省 平成22年度花粉症対策 花粉症Q&A集~平成22年度)。
ヘルスケア・ビューティケア事業を展開する「いいの製薬」が3月24日、横浜市内で「花粉口臭改善セミナー」を開催、花粉口臭に悩む人を対象に正しい口臭ケアについての講義を行った。このなかで講師を務めたのが同社の代表でもある飯野貴行氏だ。
「花粉口臭」とは、花粉症により口臭が普段より悪化する状態だ。
いいの製薬で販売されている商品のひとつに、歯を磨いても口臭が気になる人向けに開発された口臭ケアのルブレン(LUBREN)があり、この商品の開発過程で同社は花粉口臭の予防、改善についても深く研究するようになったという。
飯野氏によると、口臭の主な原因は「唾液」だが、花粉症による口の乾燥や口内への悪玉菌の侵入、繁殖などが原因で、口腔内の状態が悪化して口臭がひどくなっていくという。
抗ヒスタミン薬の副作用でも口臭が悪化
では、具体的には花粉症になると、なぜ口臭が悪化するのか?
①鼻がつまって口が開きやすく、口臭が悪化する
花粉症の症状のひとつに、鼻づまりがある。鼻がつまると息がしにくくなるために、口呼吸も合わせて行うようになる。口で息をしていると、当然口の中が渇きやすくなり口臭を抑えるために必要な唾液が無くなるため、口臭が起こりやすくなるのだ。
②花粉症の薬には口が渇く副作用があり、口臭が悪化する
花粉症の治療薬としては、抗ヒスタミン薬という薬を処方されることが多いが、副作用として口渇(こうかつ)、つまり「口の乾燥」がある。効き目の強い、少し昔の薬ほど口が渇きやすくなる傾向があるという。口の渇きすぎを起こさないように薬の量を抑えることで口臭予防に効果がある。
③鼻水が口に入ってくる後鼻漏のせいで口臭が悪化する
鼻漏とは、鼻水(鼻汁)のこと。鼻水が前に垂れることをに「鼻水が出る(前鼻漏)」というが、後ろ(のど側)に流れることを後鼻漏(こうびろう)という。
鼻と喉はつながっているため、鼻水の一部が喉に流れることは誰にでも起こるが、粘度の高い鼻水が大量に喉に流れ込むと食事や睡眠などの日常生活にも支障が出てしまう。後鼻漏をもたらす鼻の病気としては、副鼻腔炎などがあるが、膿の臭いが息に混じることで、さらに口臭が強くなる。
また、マスクなども口臭をひどくする。マスクを着用していると、つい口が開きっぱなしになる傾向があるためだ。これが悪玉菌の侵入はもちろん、口の乾燥にもつながって口臭の原因になるという。
花粉症の人が行う「鼻うがい」についても、海外では水道水の中に悪玉菌のアメーバー菌などが入っているケースがあるため、海外旅行の際には行わないほうがいいという。自身も花粉症である飯野氏も、海外旅行の際には鼻うがいはしないようにしているという。
花粉症を気にするあまり、アメーバ性髄膜炎などのリスクにさらされることにもなりかねないという。