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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

誰しも死ぬ時に逃れられない「多額の費用」…より安く済ませるための生き方

文=新見正則/医学博士、医師

 常識君の解説です。

「ワクチンの宣伝をみても、肺炎による入院費用はこんなにも高額で、その費用が削減できますといった文言を目にします。たしかに肺炎による入院費用は削減できるかもしれませんが、今度は別の肺炎で入院するかもしれません。肺炎以外の病気で入院するかもしれません。つまり、ある病気は先延ばしできても、いかに死ぬかを考慮しないと、医療費の削減にはならないということです」

 非常識君が言います。

「僕が噛みついているのは、予防医療にお金を使うということなのです。お金がかからない病気の予防策はどんどんやるべきです。禁煙の励行を奨めるとか、適度な運動をしろとか、バランスのよい食事をしろとかです。生活の質を維持するために、ワクチンを打ったり、生活習慣病の内服治療を行ったりすることはまったく賛成です。注意してもらいたいことは、いくら病気を回避してもいつかは死ぬのだから、そこで相当額の治療費が必要になり、それは先延ばしされるだけで、逃れることはできない費用だということです」

 極論君の意見です。

「確かにそうですね。野生の動物が死ぬときは、どこかわからないところで息絶えるそうです。人もそんなシステムができれば、医療費は削減されるでしょうが、そんなことあり得ませんね。みんなのお金を適切に使用する仕組みを考える必要があります」

 3人とも同じような論調に収まりました。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医師、新見正則医院院長

新見正則/医師、新見正則医院院長

外科専門医 /消化器病専門医 /消化器外科専門医 /消化器内視鏡専門医
慶應義塾大学医学部卒業後、外科医として研鑽を積む。大学病院や関連病院で診療にあたるほか、英・オックスフォード大学にて博士課程を修了。
新見正則医院 公式サイト

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