「ビッチ(bitch)」とは本来、「メス犬」を指し、それが転じて「嫌な女」「不快な女」などを意味する女性罵倒語になったといわれている。一般的には、性に奔放で露出の多いファッションの女性といったイメージで、「尻軽女」「アバズレ」「ヤリマン」などの意味で使われることが多い。
しかし、世の中には、一見しただけではビッチと思えない「隠れビッチ」な女性も存在するという。いったい、隠れビッチとはどんな女性なのか。『“隠れビッチ”やってました。』(光文社)の著者のあらいぴろよさんは、「パッと見では、まず見抜けないのが隠れビッチです」と語る。
隠れビッチの正体は清純派に擬態した嫌な女?
本書は、隠れビッチだったあらいさんが自分と向き合い、周囲に支えられて成長する姿を描いたコミックエッセイだ。
本書の冒頭では、あらいさんによる隠れビッチの定義や生態が詳しく紹介されている。それによれば、隠れビッチの特徴は以下の通りだ。
そして、最大の特徴といえるのが「ヤらせな~い!」ことだ。ビッチを名乗りながらも、隠れビッチは必ずしも性に奔放な女性ではないという。あらいさんは、「ビッチの本来の意味は『嫌な女』。必ずしも性的な面を指すわけではありません」と語る。
「私は、自分の『クズさ』を隠すために、本来の自分とは正反対の清純派に擬態していました。もともと『本当の自分』が好きではなかったので、隠れビッチとして自分以外になりきるほうが安心できたんです。デート中は、自分自身に『私は堀北真希!』と暗示をかけて臨んでいました」(あらいさん)
つまり、隠れビッチとは、あらいさんの言葉を借りると、一見「清純派」のように「擬態」した「嫌な女」ということになるだろう。
目的はチヤホヤされること、告白は最大のご褒美
この隠れビッチがデートのときに身を包むのが、下のイラストのような清純派ファッションだ。こうやって清純派になりきり、とにかく「笑顔、気配り上手、(本心でなくとも)よしよしする」といった手法でデート相手の男性の自尊心をくすぐるのが隠れビッチの基本だという。
あらいさんは、20歳から23歳までの3年間、隠れビッチとして朝から晩までデートを繰り返す過密スケジュールの日々を送っていたそうだ。
そこまでした最大の目的は「チヤホヤされること」。相手との関係性を深めるのではなく、自分がチヤホヤされたかっただけなので、交際に発展させずに相手をフるまでが基本的な流れとなる。この簡単に体を許さない手法が効果を発揮し、多くの男性と「恋愛関係の一歩手前」という関係を持つことができたという。
『“隠れビッチ”やってました。』 一見すると清純派だけど、実は男にチヤホヤされたいだけのとんでもない“ビッチ”。周りに気付かれることなく粛々と男性を騙し続けた“隠れビッチ”である作者が、その生態を赤裸々に暴きます。