薄毛のなかでも比較的、若年層から悩む人が多いのが「M字型薄毛」だ。額の生え際の両サイドが薄く、中央のみ毛が残るため、アルファベットのM字型に薄毛が進行するのが特徴だ。
初期の頃は、前髪をストンと落としていれば他人には気づかれにくい。だが、なにもしなければ確実に剃り込み度が深まっていくから、いつまでも同じ隠し方だと、正直、不自然な感は否めなくなる。
たまに電車の中で出くわす、この手の薄毛諸君に伝えたい。「キミ、前髪のデザインさえチェンジすれば、メチャクチャあか抜けるのに……」と。
<すだれバング>こそ不自然に
M字型に限らず生え際が後退してきている薄毛の場合、どうしてもトップの毛や今ある前髪(バング)で無理やり隠しがちだ。しかし、この「隠す」という行為が、他人にはかなり不自然に見えることがある。隠すことで両端がまったく透けない程度の薄毛なら、今のところまだセーフ。育毛ケアを心がけて進行を遅らせる、または毛髪を太く丈夫に育てていくことがベストだ。
その一方、「今ある前髪だけでうまくごまかせない」「トップの毛を無理やり前髪にしても透ける」といった場合は、今すぐヘアスタイルをチェンジすべきだ。
この状態は、俗に言う「すだれ前髪」で、他人の目は毛で隠せない透けた額に行きがちだ。実情よりも薄毛の印象を他人に与えてしまう。また、毛髪自体も細く軟毛になっているため、ちょっとした風でもペラペラと前髪が乱れやすい。
それをごまかそうとハードスプレーで固めてしまう人もいるが、弱った髪にハードスプレーをたっぷり吹き掛けると、ゴワゴワとした質感が悪目立ちするので絶対にNGだ。むしろ、人の目を引き付けるので注意したい。
無理やり隠すな! カット&パーマが最良方法
育毛には、睡眠や食事、ストレスの軽減など日常のケアが大切――とはいえ、今の状態を何とかしたい「M字型薄毛」。
ではどうするべきか。一番ナチュラルかつ即効カバーをする方法はヘアカットとパーマだ。額の生え際が薄い場合、ここに生えている毛は昔より確実に毛が軟弱化している。そのため、伸ばすとペラペラで、すだれのように不自然な前髪になる。
男性に人気のヘアスタイリスト、「MAGNOLiA omotesando」のDAISUKEさんは次のように話す。
「額がM字型に後退している方は、周辺の毛が内側(眉間の位置)に入りやすいので、余計にスカスカして見えます。また、フロントの毛が薄い分、見た目にボリュームもありませんから、横から見た時にシルエットが貧相になります。これを解消するには、前髪に重さを残してカットを施したら、毛の薄い部分にパーマでウェーブの重なりを与えます。曲線を重ねることで自然と薄い部分が隠れ、透け感が出てもナチュラルな印象になります」
実際に、DAISUKEさんが提案するデザインの一例を紹介しよう。
あえて前髪を短くカット、ランダムなパーマをプラス
BEFORE
左右の生え際が薄くなっている状態だ。髪にコシがなくなっているため、中央に垂れる前髪も弱々しくクセが出てきている。
AFTER①
あえてマッシュ型に前髪を短くカットし、重さを加えてからランダムなパーマをプラス。ほどよくM字部分が隠れ、おしゃれショートに大変身。
AFTER②
横から見るとこんな感じだ。実は短くカットしたほうが、毛流れの安定感が保てるので透けにくい。また、トップの毛をうまくパーマで重ねてミルフィーユ状にすることで、薄い生え際を完璧にカバーできる。
6:3分けでサイドの薄毛をカモフラージュも……
BEFORE
生え際全体が薄くなっているが、ほかの部分の毛量はあるため、6:3で分けてサイドの薄毛をカモフラージュ。逆に中央が目立ってしまい不自然な印象。
AFTER
フロント部分にカットで厚みを加えてから額~顔周りを中心にウェーブをプラス。丸みが重なることでボリュームも出るので、額の悩みなどまったくわからない仕上がりにできる。
いかがだろうか。「薄毛なのにパーマをかけて大丈夫?」と不安を抱く人もいるが、「薬剤の進化や前処理剤の選び方でダメージはかなり軽減されるのでご安心を」とDAISUKEさんは語る。
悶々と悩むぐらいなら、思い切ってヘアチェンジに挑戦してみてはいかがだろうか。
(文=小澤佐知子)
協力:ヘアサロン「MAGNOLiA omotesando」(TEL:03-6451-1540)
ホームページ:http://www.hairmake-magnolia.co.jp/smart/