中学受験の算数、文章題は「表をつくって理解」が解答への最短ルート…やみくもに演習はNG
整理方法その2「表」
本年度の「中学入試」も終わり、新たな学年に切り替わって間もない頃と思います。また中学受験を目指してスタートを切ったお子様も多くいらっしゃることでしょう。前回の記事でも“やみくも”に問題演習量だけを増やし、“出たとこ勝負”になってしまっているお子様が多いように感じていることを記しました。いきなり式を立てはじめ、その式の羅列が何を求めるためのものかが理解されておらず、どこに向かっているのかが不明確になってしまっているのですね。新たなスタートの時期において、まずは一旦じっくりと「整理」することを心がけてほしいと思っています。
その「整理」方法の第2回として、今回は「表」を取り上げてみたいと思います。前回に引き続き、ここでもテーマはあくまでも「整理」して、問題の判断や未知のものへ向かっていく(できるだけ最短で)こととします。判断しにくい問題における「整理」の仕方が大切なので、処理をするための技を身につけてもらうわけではありません。まずは以下のような文章題を「表」に整理してみましょう。
いかがでしょう。頭の中で“え~と、まずは犬かねこをかっている人が…”というように考えこんだり式を立てたりすることよりも、まずは「表」の形に整理することでコンパクトに手早く求めることができますね(他にも「ベン図」を利用した整理方法もありますので、試してみてください)。
また順位を決める問題等でも「表」に整理することで、コンパクトにまとめられます。
会話から判明する箇所に「×」印を記入していき、最終的には順位が明確になります。以下のような問題でも「表」に整理することで、しっかり分類することができます。
さらに以下のような「差集め算」「つるかめ算」といったような特殊算においても「表」で整理することができます。
1個ずつの差である10円が集まって、全体で100円の差になっていることがよくわかりますね。
はじめにりんごが20個全部あることにすると代金の合計は1000円、そこからりんごを1個減らし、みかんを1個増やすことで20円ずつ代金の合計が減りますね。この「つるかめ算」では以下のような場合でも「表」を活用することができます。
200枚全部運べたとすると賃金の合計は6000円。1枚わってしまうごとに30円もらえないばかりか、40円もべんしょうしなければならないので70円ずつ賃金の合計が減りますね(つるかめ算の中でも「弁償算」とよばれるものです)。
60円のノートの冊数が50円のノートの冊数の2倍になるように調整すると、その分80円のノートは3冊減りますね。このような3種類の場合でも同じような「表」を利用して、同じような処理ができますね。
最後にご紹介するのは「商売」の問題です。
「表」にすることで、何を求めれば答えに近づいていけるのかが明確になりますね。抽象的なことを瞬間的に式化することは小学生にとってはなかなか難しいものです。その間を取り持つ意味でも、整理するための「表」は便利な道具ですね(中には「表」を埋めている途中で解答にたどり着いてしまうケースも多々あります)。
今回ご紹介した他にも“やりとりの流れ”や“時間の経過”を整理する「表」、場合の数における“調べ”の「表」、規則性における“数値化”した「表」等、様々な場面で利用することができます。前回の「線分図」ともども問題を整理し、理解を深めるために是非利用してください。
(文=内田実人/中学受験指導スタジオキャンパス)