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この調査は、インターネットで募った有償ボランティア625名を2つのグループに分け、それぞれに1日にレモンクエン酸2700mgを含む飲料100mlおよびプラゼボ飲料100mlを飲んでもらい、それを28日間(4週間)続けてもらって疲労感の度合いをVAS検査で判定するというものです。
同文献によると、「クエン酸飲料群は全体的疲労感の摂取2週目から摂取4週目、身体的疲労感の摂取3週目、摂取4週目でプラセボ群と比較して有意な疲労感の低下がみられた」とのことです。
しかし、この文献についても、「『健康食品』の安全性・有効性情報」では、「疲労に関する自覚評価において12項目中6項目で減少が認められたものの、その他の項目で影響は認められなかった。また、生活状況に関する自己評価では運動量の低下が認められたが、平均睡眠時間や仕事量には影響は認められなかった」と否定的な評価をしています。
この文献のデータを見る限り、身体的疲労感と全体的疲労感については、クエン酸飲料群がプラセボ群に比べて疲労感の度合いが低下していますが、精神的疲労感については、両者の差はほとんどありません。
それから「『健康食品』の安全性・有効性情報」で「運動量の低下が認められた」と指摘していますが、文献のデータを見る限り、確かに運動量の低下が認められています。同文献でも「クエン酸飲料群はプラセボ群と比較しての運動量の低下がみられた」と、それを認めています。通常疲労が軽減すれば運動量は高まるはずなので、これはクエン酸の疲労軽減効果を打ち消すデータとも解釈できます。
以上のように、クエン酸の疲労軽減効果については、研究者によって判断が分かれています。今後、さらにクエン酸と疲労に関する研究が重ねられ、さまざまなデータが得られないと、効果があるのかないのか、はっきりした結論は出せないようです。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)
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