新型コロナウイルス感染拡大の対策として首都圏などに発出されていた緊急事態宣言は解除されたが(山形県は独自で発出中)、東京都は都内の飲食店に営業時間短縮(21時まで)を要請するなど、外食自粛ムードが依然として続いている。そうしたなか、自炊やテイクアウト、宅配サービスなどを利用して自宅で食事をする傾向が強まっているが、外食と比べてコロナ感染リスクを低減できる一方、準備や後片付けで何かと手間がかかることは否めない。
特にフライパンを使った炒め物、揚げ物を自宅でつくる場合、熱で汗をかく上に臭いが服についたり室内に充満したり、さらにキッチンや床に油などが飛び散り掃除が必要になることも多い。そして、油で汚れた使用後のフライパンを洗わなければならないという手間は、誰しも避けたいところだろう。
そんな手間を省く方法があると、居酒屋や日本料理店の厨房で働いた経験のある料理人はいう。
「フライパンを使わず、自宅にあるパンを焼く際などに使うオーブントースターを利用するのです。アルミホイルに具材を並べて、上から味付け用の調味料をかけ、焼くだけです。フライパンを使用する場合と、それほど味は変わりませんし、油を使用しない分、あっさりとした味になり、特に年配の方であれば“こっちのほうがよい”という感想を持つかもしれません。シンプルな塩コショウ炒め、豚肉の生姜焼き、チンジャオロース、酢豚などであれば、この方法でいけますよ」
では実際にどうすればよいのか。定番料理である豚肉の生姜焼きを例に教えてもらおう。
「具材としては肉と玉ねぎ、あとはお好みでピーマンやキノコ類などを用意してください。生姜焼きといえば豚肉が定番ですが、牛肉や鶏肉、ラムなど、自分の好きな肉でよいです。大きめに広げたアルミホイルの上に肉を並べて、その上に切った野菜を乗せて、その上から生姜焼きのタレ(調味料)をまんべんなくかけてください。
生姜焼きのタレは、2~4人分くらいの場合、酒・しょうゆ・みりんを各大さじ4、砂糖を大さじ1~2、『しょうが』は親指大くらいのサイズをすりおろし、これらを混ぜるだけです。お好みでトマトケチャップや、砂糖の代わりに『はちみち』を入れるのもアリですが、なくても大丈夫です。また、『しょうが』をいちいちすりおろすのが面倒な場合は、チューブ状のものが市販されているので、冷蔵庫に1本入れておくと何かと重宝しますね。生姜焼きのタレ自体が市販もされているので、それを使ってもよいです。
あとは具材と調味料を乗せたアルミホイルをオーブントースターに入れて、13~15分くらい焼けば出来上がりです。温度設定は200度前後くらいでしょうか。肉の生焼けや半焼けは危険なのでNGですが、あまり長く焼きすぎると肉が固くなってしまうので、ちょうどよい時間に設定するのがポイントです。何分にするかは室内の温度や個々のオーブントースターによって変わってくるので、2~3回つくってみるなかで、最適な時間を探ってみてください。また、オーブントースター内部を予熱で温めておいて、10分くらいで焼く感じにすれば、より肉が柔らかくなるでしょう」(同)
また、オーブントースターを使う方法には、もうひとつメリットがあるという。
「フライパンで炒める場合、その間はフライパンを振ったり焦げないように注意して、基本的にずっとその前から離れることができませんが、オーブントースターで焼いている間は手が空くので、その間に調理器具やお皿の洗い物などをしたりできるのも、嬉しいですね。もちろんフライパンを洗う手間からも解放されます」
“おうち時間”が長い今、いろいろな炒め物をオーブントースターで試してみるのも、いいかもしれない。
(文=編集部)