自由な発想の「ありのまま婚」、なぜブームに?
――結婚式については、従来の型にこだわらず2人らしく過ごす「ありのまま婚」が増えているようですね。
平山 昔は「結婚は家同士の結びつきであり、結婚して一人前」という側面がありましたよね。そのため、披露宴を行ってゲストをおもてなしするというかたちが一般的でした。
必然的に、結婚式では「退屈させない」「感動させる」という面が重視されて、新郎新婦は、場合によっては背伸びするかたちで「いつもと違う2人の顔」を見せることが多かったのではないかと推測します。
しかし、今は「自然体の自分たちを知ってもらおう」「そんな2人の結婚をゲストに応援・祝福してもらおう」という「ありのまま婚」が増えているのだと捉えています。
――「ありのまま婚」の先には、何があるのでしょうか。
平山 結婚式のトレンドは、時代性と世代性によってゆるやかに変化します。今後については、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのメディア利用に注目しています。SNSによって、コミュニティが変化しているからです。
たとえば、テニスが好きな人はSNSを通じてテニスのコミュニティに属し、バンドが好きな人は同様にSNSでバンド好きを探す。そうなると、結婚式の時間の使い方が変化してきます。最初は親族だけで食事会、次に家族と友人を交えた式、その後に趣味仲間などとのパーティー……といった具合です。
職場、親族、友人というくくりでゲストを招待される方が多いのですが、今後はさまざまなコミュニティの仲間たちも加わり、バラエティ豊かになっていくのではないでしょうか。
――そうなると、新郎新婦以外の参加者の意識も変わっていきそうですね。
平山 昔であれば「ありのまま婚」のようなスタイルはなかなか受け入れられなかったかもしれませんが、今は社会全体が許容する雰囲気になっていて、「みんなで楽しもう」という方向になっています。「ありのまま婚」が普及したのは、そういった背景も影響しているのでしょう。
たとえば、昔は新婦以外は白い服を着るのはNGでした。「花嫁の白を際立たせる」という配慮からでしたが、花嫁自らがゲストにドレスコードとして「白」を指定する事例も出てきています。今までマナーやしきたりとしてNGとされてきたことも、これからは受け入れられていくのではないでしょうか。
たとえば、バンドのコミュニティの友人たちが演奏することで、本人たちも心地良く、ゲストの方々も一体となって楽しむことができる。結婚式は、そうした場になりつつあります。
生まれ育った島での披露宴
今、「続・ありのまま婚」として3つのキーワードを挙げています。「ことば」「見ため」「足跡」です。誓いの言葉を親御さんに考えてもらったり、ゲストも居心地の良いラフな服装で参加したり、駅員の方であれば駅で挙式したり……。申し上げているように、「儀式」や「しきたり」といった意識は薄れており、ありのままの“今”の2人が結婚を誓い合えることが大事になってきています。