「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」――。
総合結婚情報誌「ゼクシィ」(企画・制作:リクルートマーケティングパートナーズ)が結婚の意義を問いかけるようなこのCMは、大きな反響を呼んだ。今、50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合を示す生涯未婚率が過去最高を記録し、結婚や結婚式のあり方も多様化している。
そんな時代に、「ゼクシィ」はどのような戦略を描くのか。編集長の平山彩子氏に話を聞いた。
「“結婚”という選択の押し付けはしない」
――「ゼクシィ」が「結婚しなくても幸せになれる……」とうたうCMは話題になりました。どのような反響がありましたか。
平山彩子氏(以下、平山) 9割が好意的な反応でした。このCMでは、「結婚の決断は自由であり、好きな相手と結婚することは、ただまっすぐに幸せなことである」ということを伝えたかったのです。そうしたコンセプトのCMに対して、「あらためて共感した」という声をいただきました。
平山 昔は結婚するのが普通の人生でした。しかし、これからは「結婚するか、しないか」という軸よりも、「自分にとって大切な人と一緒にいられるか」という軸が広まっていくと思っています。「ゼクシィ」としては、年齢で考えるのではなく、そうした考え方を伝えていきたいと思っています。一方で、生涯未婚率や婚姻率などの数字の変化にも注目しています。
そこで、「ゼクシィ」ブランドを生かして、2014年12月に恋活サービスの「ゼクシィ恋結び」、15年に婚活サービスの「ゼクシィ縁結び」をスタートさせ、出会いのサポートや結婚式の魅力の提供にも注力しています。同時に、「結婚」という選択を押し付けるのではなく、「結婚の良さ」「誰かと共に暮らすことのすばらしさ」などをお伝えしていきます。
――結婚のあり方も、多種多様になっていくということですね。
平山 そうとも捉えることができるかもしれません。夫婦が同居する従来の結婚だけではなく、同居しない「別居婚」、なんらかの事情で週末のみ生活を共にする「週末婚」、入籍せずに夫婦同士で取り決めを行う「事実婚」などの形態もあります。グローバル化によってワールドワイドの仕事も珍しくなくなった今、結婚の形態は多様化しています。
このほか、お互いのキャリアを生かして結婚後に起業する夫婦もいらっしゃいました。結婚を機に、お互いをビジネスパートナーとしても認め合い、仕事の面でも新たな一歩を踏み出すという事例です。夫婦の働き方も多岐にわたっており、夫が家事を行い、妻が外で働くというケースもあります。
あらゆる夫婦の「結婚」に寄り添いながら、さまざまな結婚のかたちをシェアするのも「ゼクシィ」の役割だと思っています。