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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

朝食にグラノーラはNG? 糖質過多+たんぱく質不足、老化が進む恐れも

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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「Getty Images」より

フルーツグラノーラ」というと、健康意識が高い女子がお洒落なトッピングを加えて食べているような、ヘルシーなイメージが定着しているが、「健康を害する恐れがあるので、あまり食べないほうがいい」といった指摘が上がっている。

 5月20日、Twitter上で「朝食をフルグラにするのはやめておきましょう。一見、ビタミンやらミネラルが入ってて健康そうに見える。しかし、実際のところ、オーツ麦に油と砂糖を混ぜて焼き上げた、ただのお菓子です。もし『めっちゃ良いやつそうに見えて、実はめっちゃ悪いやつ選手権』があれば、フルグラはぶっちぎり優勝です」との投稿がなされると、賛否両論が乱れ飛んだ。

 批判する向きは、「フルグラが不健康だとしても、食べないよりはいいはずだ」「1人暮らしで朝食を準備する時間がない人が、手軽で短時間に栄養分を摂取できることが重要なわけで、大量に食べ続けない限り問題ないはず」など、自炊すべきなのは承知しているが、それができない人にとっては頼りになる存在になっているとする声が大半だ。

 そこでグラノーラの健康への影響について、予防医療研究協会理事長で麹町皮ふ科・形成外科クリニック院長の苅部淳医師に聞いた。

「まず、グラノーラといっても厳密には以下の3種類に分けられます。

グラノーラ:オーツ麦、ナッツ、フルーツを加熱したものの総称
ミューズリー:味付けなし、生のグラノーラ
シリアル:一般的な穀物加工品の総称

 一般的に売られているグラノーラは、ほとんどが砂糖など糖質を非常に多く含みます。メーカーによって若干の違いはありますが、グラノーラの主原料はオーツ麦やライ麦と砂糖です。栄養でいえば、ほとんどが炭水化物です」

 また、フルーツグラノーラは栄養バランスの面でもヘルシーとはいえない内容だという。

「たとえば、代表的なフルーツグラノーラでは、1食50グラム中35.5グラムが炭水化物で、その内の31グラムが糖質、4.5グラムが食物繊維とのことです。これは、栄養学的に非常に偏りがあり、もっとも重要なたんぱく質が完全に不足している食べ物です。さらに、フルーツグラノーラのドライフルーツは袋詰の過程で加熱処理されてしまうため、ビタミン類や食物繊維が減少したり、酵素が含まれていません。酵素が含まれないフルーツの果糖は、砂糖と同じように消化されるので血糖値が上がりやすく、太りやすくなってしまいます」

エネルギーチャージ

 苅部医師の解説からも、フルーツグラノーラはヘルシーとはいえない食べ物であることがわかるが、目的に合った摂取であれば、優秀な食べ物といえる。

 表参道・南青山のパーソナルトレーニングジム「plat gym」のチーフトレーナー・佐藤ルイ氏は、次のように語る。

「トレーニング前のエネルギーチャージとしてはとても優秀ですが、ヘルシーとはまた別かと思います。ビタミン・ミネラル・炭水化物を多く含み、食べやすさから自然と摂りすぎる傾向にあり、カロリーオーバーになりすぎな反面、たんぱく質が全然摂れません。たんぱく質を別に摂ると、バランス的には補えるでしょう」

 フィットネス・アドバイザー/ビキニ・アスリートの三船麻里子氏も同様の見解だ。

「基本的に、”体重や体脂肪率を減らす方向にコントロールする時に、食べてはいけないものはない”と私は考えていますが、食事代わりにフルーツグラノーラを摂ろうとするとタンパク質が少ないです。そして食物繊維、亜鉛、カリウム、鉄分、カルシウムなどが入っているのは良いのですが、ショートニングや砂糖を多く使っているものがあるので、カロリーが高くなります。それらが少量、または含まれていない物を選べばいいと思います。あとは1回の摂取量を50グラム以下にする、一緒に摂る牛乳や豆乳、ヨーグルトの脂質が少ない物を選ぶなど、工夫してみるとよいです。逆に体重を増やしたい、トレーニング前後の炭水化物摂取のためであれば、フルーツグラノーラは良いと思います」

老化が進む?

 苅部医師によると、フルーツグラノーラは製造過程で加熱処理をしているため、近年非常に注目されている、体の老化を進めてしまう最終糖化産物の「AGEs」という物質が含まれると考えられるという。

「これは身体の中に蓄積し、シミやしわ、血管の老化、あらゆる病気に関与している可能性が指摘されているのです。一旦、蓄積してしまうと不可逆性のため、体内から除去することが難しいのです。身体のためには、生の野菜や果物を食べるのが一番抗酸化作用が強く、アンチエイジングに効果的なのです」

 以上のことから、市販されているグラノーラは、栄養価よりも美味しく食べられることに主眼を置いて加工してあるため、決してヘルシーとはいえないようだ。エネルギーチャージとしては効率が良い面もあるので、目的に応じて摂取するのがいいだろう。

 ちなみに、米国農務省(USDA)は、砂糖の摂取量を「1日の総カロリーの10%以内」に制限することを推奨している。これは、たとえば2000キロカロリーの食事を摂っている人の場合、砂糖小さじ12杯(50グラム)に相当する。

 あるグラノーラには、1食分に小さじ4杯(17グラム)近くの砂糖が含まれている。標準の1食分量より多く食べれば、それだけ多くの砂糖を摂取することになる。

 USDAは、成分はブランドによって大きく異なるため、グラノーラを購入する際は栄養表示や成分表ラベルを注意深く読むことが重要だとし、ラベルの最初のいくつかの材料はオーツ麦やチアシード、キビなどの全粒穀物、ナッツ、種子、ドライフルーツなどであること、そしてチョコレートチップ、蜂蜜、砂糖漬けにしたドライフルーツなどの材料は注意するよう呼び掛けている。特にバータイプの商品は、固形にするためにさらに砂糖が多く使われる傾向にあり、ヘルシーとはいえない。

“肥満大国”ともいわれるアメリカで、手軽に食べられるグラノーラは今でも一般的な朝食メニューだが、一方でグラノーラは選ぶブランドによっては健康的ではないという事実も広く知られている。健康志向の高い人々のなかには、自分の好きな材料を使って砂糖を控えめにしたオリジナルグラノーラをつくり置きし、ヨーグルトや生のフルーツを盛り合わせて食べる人も多い。

 グラノーラを食べる場合、まず成分表を確認し、さらに健康的で自分に合ったアレンジを加えるように心がけたい。

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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