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丸谷健太「だからゲームがやめられない」

『スーパー野田ゲーPARTY』個人的にお薦めなタイトル3選…1000円で充実し過ぎ

文=丸谷健太/ライター

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 YouTubeをはじめとした動画配信サイトの隆盛やコロナ禍によって生じた時間によって、ゲーム実況の配信がひとつのコンテンツとして定着した感のある昨今。一般のゲームユーザーのみならず、ゲーム好きを公言していた芸能人もゲーム実況配信を積極的に行なうようになったなか、ゲームを“製作”する側に回り、より深くゲームに携わる人も出てきた。

 今回の記事では、そんなゲーム好き芸人からゲームクリエイターへとクラスチェンジを果たしたマヂカルラブリー、野田クリスタル(敬称略)によるNintendo Switch用ゲーム『スーパー野田ゲーPARTY』を紹介。ファミコンを知る世代なら思い浮かべてしまうイマイチな出来な“芸能人もの”ゲームとは一線を画す、しっかり遊べるゲームが多数収録された『野田ゲー』の魅力を語っていきたい。

1000円で16本のミニゲームが楽しめる

『スーパー野田ゲーPARTY』は、アクション要素の強いゲームを中心に、複数のタイトルが収録されているNintendo Switch用のダウンロード専売タイトル。2021年4月29日に配信が開始された時点では、以下の16タイトルがプレイ可能。

※『スーパー野田ゲーPARTY』収録タイトル(50音順)

・おたけさいこっちょーゲーム

画面中央に現れるジャングルポケットのおたけが“さいこっちょー”“さいてっちょー”、どちらのポーズを取るかを当てるゲーム

・オニオンクエスト

RPG。平和になった世界を散策しつつ、ひたすらモンスターを倒していく

・音声衰弱

同じ音を出すカードをそろえて獲得する音声版神経衰弱。音は野田の声以外にも、クラウドファンディング出資者の声やさまざまな効果音が用意されている

・~GALS FIGHTER~応援

1対1で対決するギャルにアイテムを投げて応援する格闘ゲーム風アクション

・新・干支レース

新しい12の干支を決めるためのレースを行なう。選べる動物は全62種類(猫多め)

・将棋Ⅱ

日本のゲームの古典中の古典、将棋の続編。異様に多い駒の種類と王将となる駒が毎回変化するのが特徴

・凄六 すごろく

サイコロとお助けカードを駆使して一兆マス先のゴールを目指す1対1の対戦ゲーム

スーパーブロックくずして

自動で進むブロック崩しをジャマしないよう、デッカチャンを操作してボールを避けるゲーム

・次おります早押しバス

客の降りたい駅名と画面下に高速で流れる駅名が一致したらボタンを押す早押しゲーム。3本先取した側が勝ちとなる

・頼むぜ!! ボルダリング姉さん~アルティメット・エディション~

ボルダリングに勤しむ姉さんを操作してゴールを目指す。右から左にスクロールが特徴。道中ではカラフルな石にまぎれた果物を見つけて食べていくのが攻略のカギ

・つり革

M-1グランプリ2020を制した漫才、つり革につかまりたくない野田を完全ゲーム化。対戦時は1Pを選んだプレイヤーは野田クリスタル、2Pは出資者を操作する

・太ももが鉄のように硬い男 てつじ 令和も! 平成も! 昭和も!

通称『もも鉄』。弾丸を跳ね返すレベルの硬さの太ももを持つてつじを操作し、行く手を阻む敵を倒していく。お笑いファンにとっては野田がR-1のネタで用いたゲームとして有名なタイトル

・ボタン遠すぎじゃない!? 早押しクイズ

早押しクイズと迷路を組み合わせたゲーム。クイズは総じて易しめだが、迷路のほうはレベルアップとともにどんどん難解になっていく

・まぁまぁあぶないじゃん

野田もしくは出資者を操作し、画面に表示された麻雀の役に応じた牌に突撃してあがるアクションゲーム

・マシュマロいくら焼けるかな

ランダムに起き上がる老婆の目を盗みつつ、対戦相手より早く焼きマシュマロを完成させるゲーム

・世直し すゑひろがりず

本作の出資者にしてお笑いコンビのすゑひろがりずを主役に据えたアクションシューティング

 16タイトルのうち、『スーパーブロックくずして』『ボルダリング姉さん』『もも鉄』は、野田自身がプログラミングから製作したゲームをほぼほぼ忠実に再現した“移植”作。お笑い好きにとっては、野田が劇場や「R-1ぐらんぷり」(※2021年より「R-1グランプリ」へ名称変更)でネタの一部として披露していたゲームを身を持って体験できる点も魅力といえるだろう。

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「R-1ぐらんぷり」を追っているようなお笑い好きの人にはおなじみの「もも鉄」。ネタのオチに使われていた課金モード以外は忠実に移植(?)されている

 残る13タイトルは『スーパー野田ゲーPARTY』のためにつくられた新作。随所に本作のためのクラウドファンディングに出資した人たちの姿、描いたキャラクター、声、ペットの写真などが使用されているのが印象的。独特な世界観づくり、そして各種ゲームでたまに起こる理不尽なゲームオーバーも笑って許せる雰囲気を生み出すことにひと役買っているように思う。

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どのゲームもプレイするごとに“ノダクリスタル”が溜まっていき、100個集めるとガチャを回すことが可能。野田の口からはゲーム内で使用されているさまざまな絵や音声など、クラウドファンディングの出資者にまつわるアイテムが出現する

 ガチャによるアイテム収集のほかにも、自分がこれまで残してきたハイスコアをゲームごとに確認できたり、16種類中13ゲームでは2人同時プレイ(対戦)が可能など、プレイヤーがその気になれば長く遊びこめる要素が盛り込まれているのも特徴だ。

 ただし、ここでネックになるのが、本作がオンラインでのスコア集計や、オンラインプレイに対応していないという点。そのため対戦を楽しむためには、『スーパー野田ゲーPARTY』に興味がある友人や家族がいないと成立しないし、自分が納得いくハイスコアを叩き出したとしても、他のプレイヤーと比較できない。この点だけは各種ゲームの出来がいい(知識ゼロで遊んでも楽しめるゲームと、やりこむことでプレイ感覚が変わるゲームがバランスよく混在している)だけに、この点は残念だ。

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ほとんどのゲームにふたり用モードが搭載されている『スーパー野田ゲーPARTY』。相手がCPUでも十分楽しめるが……

 とはいえ16ゲーム1000円という価格を考えると、オンライン対戦まで望むのは酷というか若干クレーマー気味な要求な気がするし、対人戦前提でつくられたと思われるゲームであっても、ひとりで十分に楽しめた。そこで、ここからは筆者のようなソロプレイがメインのプレイヤーでも満足いくまで遊べたタイトルを少し追加で語っていきたい。

個人的オススメ『野田ゲー』3選

・まぁまぁあぶないじゃん

 まずは個人的に一番気に入ったアクション系野田ゲー、『まぁまぁあぶないじゃん』を紹介。このゲームは画面を飛びかう点棒や外れ牌をよけつつ当たり牌に野田をぶつけることで役を成立させていくという、麻雀のルールを利用したアクション。画面下の手牌に対応した当たり牌に触れればステージクリアとなりスコアが加算。さらに高得点を狙えるステージへと進めるが、関係のない牌や点棒に野田が当たると“ドン”となり、そこでゲーム終了。ドンになるまでいかにスコアを稼いでいくかが目的のゲームになっている。

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野田の姿をした自機を小気味いいスピードで動かせるため、牌や点棒を避けるのが単純に楽しい

『まぁまぁあぶないじゃん』で最初に気に入った点は、自分の操作ミスで死ぬことはほぼないものの、手牌の確認や点棒の不規則な動きで突然のドンが起こり得るゲームバランス。つねに適度な緊張感を味わいつつも次のステージへと進め、また、あがった際の役が高いため(たいてい役満以上)、なんとなく気持ちよくなれるのが楽しかった。

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普通の麻雀ではめったにあがれない役がバンバン成立するのも気持ちよくなれるポイント

・世直し すゑひろがりず

スーパー野田ゲーPARTY』の中では貴重な、プレイヤーキャラが直接敵を攻撃できるタイプのアクションゲーム(野田ゲーの多くは敵の攻撃を避けたり跳ね返して局面を打開するタイプのゲームが多い)。そのため序盤のステージは適当に攻撃ボタンを連射しているだけで敵を倒せるため、ストレス解消にもってこい。

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ステージを徘徊するならず者は攻撃可能。ならず者の排除、ごみ拾い、お年寄りを家に送るといった善行を積むことでステージを進めていく

 またすゑひろがりずが『スーパー野田ゲーPARTY』に100万円の支援を行なっている大口出資者なだけあってか(?)、プレイヤーが操作するなんじょう、みしまに能力差が設定されていたり、ステージの見た目や構成、ボス敵などにバリエーションがあるなど、ゲームとしての厚みがあり、先に進みたいと思えるのが〇。ゲームルールのユニークさで魅せる『野田ゲー』とは若干毛色の違うタイトルだが、自分はファミコン黎明期っぽいアクションゲームとして楽しめた。

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キャラクターの性能差や起伏のあるゲーム進行など、“ふつうのゲームっぽい”のも『世直し すゑひろがりず』の特徴

スーパーブロックくずして

 オリジナルモードと『スーパー野田ゲーPARTY』から追加された“相棒と一緒”モードで、大きくプレイ感覚が変わるのが印象的なアクション。デッカチャンひとりを操作するオリジナルモードは、時間経過とともにスピードアップしていく弾をよけるシンプルさがウリ。やること自体は『まぁまぁあぶないじゃん』に似通っているが、手牌を見て役を確認したり、当たり判定の大きさが異なる障害物が飛んでこないため、より弾避けだけに集中でき、自分の体調と集中力しだいでスコアを伸ばせるのが、筆者には魅力的だった。

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3回弾に当たるまでのスコアを競う『スーパーブロックくずして』だが、被弾するたびにデッカチャンの顔が巨大化するため、実際は1回弾に当たってしまった時点でほぼ詰み。

 シンプルなルールゆえに弾のスピードが上がると一気に難しくなる『スーパーブロックくずして』だが、相棒と一緒モードでプレイすると、一気にゲームがヌルくなるのがユニーク。デッカチャンについてくる相棒は弾を跳ね返すため、画面端にデッカチャンと相棒を重なるように配置すると(100%弾を防げるわけではないが)、1980年代のゲーマーにはおなじみ“安地”(安全地帯)が発生。デッカチャンを操作することなくスコアを稼ぐことができる。これがノダクリスタルを集めたいときに非常に便利。ガチャ回しの友として活用させてもらった。

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デッカチャンと相棒の女の子のサイズ的にすべての弾をカバーすることはできないが、放置しているだけでノダクリスタルを集められるのはありがたい

 今回紹介させてもらった3ゲーム以外も、十分に遊べるタイトルが収録されている『スーパー野田ゲーPARTY』。時期は未定だがアップデートでの新作タイトルの追加(『漫才王』『人面ニャ』)も決定しており、いまからダウンロードしても1000円の元は確実に取れるコンテンツになっている。大作ゲームにはないお手軽さ、新鮮な驚きを感じたい人は、ぜひ本作を触ってみてほしい。

(文=丸谷健太/ライター)

ゲーム名:スーパー野田ゲーPARTY

メーカー:よしもとゲームズ

対応機種:Nintendo Switch

ジャンル:パーティ・バラエティ

発売日:2021年4月29日

価格:1000円(Nintendo Switch、税込)

丸谷健太/ライター

丸谷健太/ライター

ゲームライター

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