「婚活疲れ」という言葉をご存じだろうか。婚活に励んでも結婚したい相手に巡り合えず、疲れてしまう現象を指す。私は婚活・恋愛を中心に人生相談を年100名以上から伺っているが、いま婚活疲れに悩む男女が増えているのだ。
婚活疲れの原因は「多すぎる条件」と「世間的な理想の内面化」
婚活疲れを起こしている男女には共通点がある。「こういう相手はイヤ」という足切り条件の多さ、そして世間でよしとされる相手を求める感情だ。
36歳の会社員、アヤさん(仮名)は婚活疲れについてこう語る。
「25歳から婚活を始めたんですよ。でもいい人に出会えなくて。そんなに条件はないんですけど、たとえばデートで割り勘にされるとか、アプリの写真と実物が全然違うとか、声が高すぎるとか、なんか違うっていう。そういうのが続いちゃって。もうだんだんストレスがたまるんですよね。あるとき普通に仕事してたら涙が止まらなくって。私もうだめなのかな、このままひとりで死ぬしかないのかな……って」
アヤさんは男性の年収や身長、体型にはいっさいこだわりを持たず婚活をしているという。しかし実際には「初回のデートでおごってくれる」「写真と同じくらいイケメン」「好みの声」といった細かい条件を複数持っている。ひとつひとつは大きなハードルではないが、どんな条件でも10個を超えれば該当する男性が減ってしまう。
次に38歳の男性、シュンさん(仮名)から、婚活疲れについてお話を伺った。
「ほんと、つらいっすよね……。けっこう女性とメッセージが続かないし、出会っても2回目いかない。(筆者:どういう女性が好きなんですか?)ええ、面食いっていう自覚はありますね。面食いです。学年で1番くらい可愛くないと話しかける気が起きなくて。あと自立してて、自分と話が通じるくらい賢くないと嫌ですね」
しかし、シュンさんに詳しくお話を伺っていると、女性に対し「おしとやかであってほしい」「専業主婦だった母と同じくらい家事をやってほしい」といった言葉が出てきた。本音では昭和の専業主婦的な女性を求めているのだが、周囲に自立した女性をよしとする友達が多いため、みんなに承認されそうな女性を探していたのだ。自分が本来求めていない女性を探しているのだから、「この人だ!」と思える相手にはなかなか出会えないだろう。
こういった婚活疲れの実態をレポートすると「それって高望みだから」「自己責任」という言葉が飛び交いやすい。しかし、本当にそうだろうか?