カレーのスペシャリストによるオススメのレトルトカレー4選
我々の知らぬ間に、蛹から蝶へと羽化するかのごとき進化を遂げていたレトルトカレー。ここでカレーのスペシャリストである井上氏に、今食べておくべき、注目のレトルトカレーを聞いた。
「まずは、ハウス食品が2月に発売した『スパイスフルカレー』。現在大阪を中心にブームとなっているスパイスカレーをレトルトにしたもので、日本人好みの絶妙な配合により、スパイスがダイレクトに味わえてとても美味しいと人気を集めています。
また、手前味噌ですが、弊社が6月に先行販売を始めた『IICAチキンコルマカレー』も、日本にいながら本物のインドカレーが楽しめると好評をいただいております。インド人が実際に食べている本場のインドカレーを再現するというコンセプトのもと、レトルト技術の粋を尽くしてインド最高峰の料理学校であるIICAのレシピを忠実に再現できたと自負しております。全国から注文が殺到し品薄になるなど、カレー業界で話題の商品になっています。
ご当地カレーですと、日本一焼肉を食べる町、長野県飯田市のご当地カレー『焼肉の●のキーマカレー』(編注:●は「シメ」マーク)がユニークだと評判になっています。こちらは、カレー好きの間ではメジャーな、お酒や焼肉の後にシメでカレーを食べる“シメカレー”がコンセプト。焼肉の後にサラっと食べられる味わいにしつつ、飯田市の焼肉文化を象徴する羊肉や、地元の辛みそをブレンドしたご当地色も強い本格カレーです。
他には山口県下関市の『プレミアムふぐカレー』も人気を博しています。インドカレーの名店『デリー』がソテーすることで、風味を損なわないままスパイスの香りがついたフグが特徴。そして、ハウス食品の子会社、サンハウス食品が開発したフグに合うカレーソースを使用することで、フグの繊細な風味とカレーの力強い味わいが両立されたカレーとなっています」(同)
最後に、レトルトカレーをより楽しむ方法についても教えてもらった。
「もちろんレトルトカレーはそのまま食べても美味しいですが、やはりパックに入っている以上、具材の大きさや量は制限されてしまいます。なのでお好きな肉や野菜などをフライパンで炒めて、そこに温めたレトルトカレーをかければ、ちょっとした手間で家カレーのように具材豊富なカレーを楽しむことができます。また、男性であればカツカレーがお好きな方は多いかと思いますが、スーパーやカツ屋さんでトンカツを買ってきて、そこに好きなレトルトカレーをかければ、お気に入りのカレーをカツカレーへとアップグレードできます。
最初に申し上げた通りレトルトカレーは今や多種多様ですので、いろいろと楽しみ方があります。私の場合、複数のレトルトカレーを用意して、それを家族や友人とシェアし合う『レトルトカレーパーティー』をよく催すのですが、これはレトルトカレーならではの楽しみ方でしょう。さまざまな種類を同時に楽しみながら、みんなでカレーの好みについて語り合ったりするのも、やってみるとおもしろいものです」(同)
幼い頃、母親がつくってくれた鍋いっぱいのカレーをおかわりしながら食べた思い出は、多くの人が原体験として持っているだろう。そんな風景が薄れていっているのは少し寂しくも感じられるが、レトルトカレーが進化した現代だからこそ、今までにないカレーの楽しみ方が生まれているのである。この機に食べたことのないレトルトカレーを試してみてはいかがだろうか。
(文・取材=A4studio)