飲食業に携わるプロだけでなく一般客からの支持も厚い、神戸物産の「業務スーパー」。コスパ抜群のPB(プライベートブランド)商品の数々は、誰もが認める同社最大の武器だろう。
その経営も絶好調のようだ。昨年12月に神戸物産が発表した2021年10月期連結決算によると、売上高3620億6400万円、経常利益は290億8700万円とともに過去最高を記録。これで売上高は16年連続、経常利益は8年連続の更新となった。また、昨年宮崎県に出店したことで、ついに全都道府県への進出を達成したという。
コスパの良い食材でユーザーの心を掴み、業績も右肩上がり……と非の打ち所がなさそうに見える業務スーパー。しかし、店頭にはちょっと首を傾げてしまうような“要注意商品”も紛れている。
そこで今回は、業務スーパーのこの冬買うなら“要注意?”な商品をピックアップ。実食した感想と併せてご紹介するので、ぜひお買い物の参考にしていただきたい。
冷凍みかん/198円
業務スーパーの店頭には、冷凍フルーツも数多くラインナップされている。昨年11月配信の『業務スーパー、今、絶対買うべき「コスパも味も驚異的」な商品5選…鶏肉2kgも』でも、そのなかから「冷凍いちご」を“高コスパな商品”として取り上げた。今回取り上げる「冷凍みかん」も同系統の冷凍フルーツだが、問題はコスパというより味にあるようだ。
というのもこの商品、絶賛している人も多くいる一方で「信じられないくらいまずい」「皮が固くて子供達に不評」「口の中で筋が残ってしまって残念」といった声も聞こえてくるのだ。一体どういうことなのか。
一房食べてみるとまず、かなり酸味が強いことがわかった。また、一度冷凍したことによってなのかビチャビチャと水分が出てしまうし、みかん特有の筋感もあるため、この食感が苦手な人には厳しいかもしれない。だが、この「冷凍みかん」、シャリシャリの状態でチューハイやワインなどのお酒と組み合わせて飲むと、欠点もカバーされてかなり美味しく飲めるそうだ。何かと組み合わせて食べる前提で購入するのがいいかもしれない。
レアチーズ/298円
業務スーパーのチルドコーナーでは、「牛乳パックデザート」なるものが販売されており、同ブランドを支える人気ジャンルとして存在感を放っているのをご存じだろうか。1kgのデザートが牛乳パックに入っているというこのシリーズからは「とろけるパンナコッタ」「カスタードプリン」「コーヒーゼリー」「水ようかん」「レアチーズ」などさまざまな種類のスイーツがラインナップされており、お好みの商品を選ぶのも楽しいだろう。
しかし、このシリーズを初めて買おうという方には、ぜひ注意していただきたい点がひとつある。それは、全体的にかなり味がさっぱりとしている点だ。
とりわけ、今回取り上げた「レアチーズ」はそれが顕著。爽やかな酸味とチーズの味わいが感じられ、決してまずくはないのだが、どちらかというと“レアチーズゼリー”と呼びたくなるようなあっさりとした味わいなのである。濃厚なレアチーズケーキをイメージして購入すると肩透かしを食らってしまうかもしれない。
おとなの大盛カレー辛口/298円
自炊する意欲がまったく湧かなくなってしまう瞬間というものは、思いがけずやってくるものだ。そんな場面で助かるのが、ストックしておくことができるレトルトカレー。業務スーパーにも、「おとなの大盛カレー」というレトルトカレーが5パックセットで298円という価格で販売されている。1食あたり約60円という高コスパなので、ストック用の候補としても十分考えられる。
そんな「おとなの大盛カレー」、中辛と辛口などが展開されており、中辛はネットでも評判がいいようだ。けれど辛口には“辛すぎる”との声があとを絶たない。その辛さは「そのままだと悶絶する辛さでスプーン進まない」「辛すぎて無理レベル」とのこと。一体どれほど辛いのだろうか。
一口食べてみると、ルーはかなり濃厚でスパイシー。インパクトが薄くなりがちなレトルトカレーのなかではかなり特徴的な味わいといえるだろう。しかし、そのあとからやってくる辛さは、たしかに非常に刺激的。辛口とは書いてあるものの、ここまでの辛さだと想像していた人は少ないだろう。
食べ終わったあともしばらく舌がジンジンするくらいの辛さだったので、辛いものが苦手だという人は、中辛を買うほうが賢明だろう。だが、もちろん辛いもの好きにとってはこの限りではないだろう。我こそはという辛いもの好きの人は、一度チャレンジしてみてもいいかもしれない。
ミックスベジタブル/138円
業務スーパーの冷凍野菜のコーナーには、数多くの野菜がラインナップされている。特に「オクラスライス」や「カーネルコーン」「刻みたまねぎ」などは、いちいち用意するのが面倒な食材が使いやすくまとまっているうえ、余ったら封をして冷凍保存しておけるので便利な商品だろう。「ミックスベジタブル」もそんな系統の商品のひとつ。
だが、Twitter上ではこの商品に対して「プラスチックの塊みたいな味」「ニンジンげきまじい」「不味すぎて消費に困ってる」などと、複数のユーザーからかなり辛辣なレビューが集まっている。
レビューに少々気圧され気味になったのだが、実食してみよう。まず、グリーンピース、コーン、にんじんの3種を一度に食べてみたがやや味が薄い。次に一つひとつの具材を別々に食べてみると、どの野菜もほのかな甘みは感じられるが、それぞれの野菜にある特徴的な香りは総じて消えてしまっている感があった。
ネットに寄せられた辛辣なレビューほどではないにせよ、冷凍にすることでどうしても野菜本来の風味のバランスが崩れてしまっているのかも、という印象はあった。ただ、その見た目は華やかでコスパも良好。味わいを重視せず料理の彩りとして使うならアリなのではないだろうか。
今回は業務スーパーの、買うなら“要注意?”な商品を4品紹介してきた。しかし、ここに挙げた商品は、用途や食べる人によっては十分に満足できるものの可能性もある。そのため、読者のみなさんにはどんな用途で使うのか、自分はどんな味が好みなのかを明確にしたうえで、適宜購入を検討していただけると幸いである。
(取材・文=A4studio)
※情報は2022年1月21日現在のものです。