漫画のような超巨大な肉の塊を食べてみたい――こんな欲望を抱いたことのある人は少なくないだろう。
筆者は20代中盤に差し掛かり、10代の頃に比べて食欲は減退しているのだが、それでも大きい肉の塊にがぶりつきたいという衝動は心に宿している。そんな願いを叶えてくれるステーキチェーン店があるという。その店の名は「マロリーポークステーキ」。都内を中心に7店舗を経営するポークステーキ専門店であり、270g/990円(税込、以下同)からポークステーキを食べることができる。一見普通のステーキ店のように見えるが、なんとこのお店、最大2kgまで重量を増やせるという大ボリュームのサービスを提供しているのだ。
SNSでもたびたび話題になっており、なかでもYouTubeでは、どデカい肉を紹介した動画が数多く投稿されるなど注目の的となっている。
はたしてどれほどのボリュームのポークステーキなのだろうか。そこで今回は「マロリーポークステーキ 大手町店」に足を運び、実際にどデカサイズのポークステーキのレビューをしていく。
メニュー名には山の名前がモチーフに
今回は特大ボリュームの肉を食べることになるので、筆者と知人の2人で向かうことに。地下鉄大手町駅C6a出口から直結で繋がる大手門タワー・ENEOSビル地下1階「よいまち」内にある大手町店。ウッド調の外装でカジュアルさが感じられたので入りやすい印象だ。
訪れたのが19時でディナー時だったため、外で3組が並ぶ混雑ぶりだった。我々は予約をしており、すぐにテーブル席まで案内されたので、事前予約はしておいたほうがスムーズだろう。
それではさっそく注文していこう。ステーキのサイズはグラム数によって7段階存在し、それぞれのメニュー名は山の名前がモチーフとなっている。たとえば最小サイズの200gは日本一低い山である「日和山・天保山級」(790円)、そのワンサイズ上の270gは「高尾山・六甲山級」(990円)、そして450gでは「富士山級」(1590円)と日本の山々がモデルに。それより上となるとスイス、イタリアの山「マッターホルン級」(2390円)の700gから、火星にある27㎞にも及ぶ火山「オリンポス級」(5990円)の2kgまで及ぶ。ちなみにそれぞれシェアが可能となっており、一番上のオリンポス級は7~8人のシェアに適しているサイズだという。
フードロスの観点からさすがに2人で2kgは厳しいと考え、今回は1㎏の「キリマンジャロ級」(3290円)を頼むことに。推奨人数は3~4人となっていたものの、ひとり500gの計算でいけば、食べ切れると判断したので注文した。
なお「マロリーポークステーキ」での注文は卓上にあるQRコードを読み取って行うことになる。写真のとおりライス付きのセットがあったので、今回は「キリマンジャロ級セット(ライス山盛り)」(3590円)とシーザーサラダ(390円)をスマホから注文。これで巨大ステーキを待つのみとなった。
言葉を失う、山のような巨大ステーキ!
注文から5分ほどでシーザーサラダが到着した。
皿いっぱいに敷き詰められたグリーンリーフ、ベビーリーフの上には、シーザードレッシング、チーズ、クルトンがかけられており、温玉もトッピングされていた。そして、淡いピンク色をした一口サイズの豚肉も入っており、主役のステーキが届く前から期待が高まる。
温玉を崩して食べてみると、チーズの濃厚な旨味と瑞々しいリーフが良く絡み、箸が進む。一口サイズの豚肉も見た目以上にジューシーで、噛みごたえもあった。前菜のクオリティの高さに、ポークステーキの登場が待ち遠しくなってしまう。
そうこうしているうちに主役の1㎏ポークステーキが登場!そのあまりの大きさに我々は思わず言葉を失った。人の拳4、5つぐらいは容易に入るのではないかと思うほどのサイズ感であり、肉厚さも一般的な極厚ステーキのそれとは段違い。下の画像は、知人の拳とポークステーキの比較画像なのだが、その大きさは一目瞭然だろう。
想像を超えるビッグサイズで思わず目を疑う。正直、食べる前から“1㎏”という大きさを舐めていたと痛感。こんな特大ボリュームの肉を存分に味わえる! というワクワクした気持ちと同時に、はたして2人で食べきれるのか……という不安もよぎっていた。
ちなみに、ステーキが届くまでの時間は、シーザーサラダ到着からさほど経っていなかったことにも驚いた。低温調理でじっくりと火入れして仕込んでおいた豚肉を、オーダーが入ってからさっと焼き目を付けるという工程のため、提供時間を早くできるようだ。しかも、この調理法を施すことによって、外はカリッと、中はジューシーに焼き上げることができるという。
その後、届いたライスを横目で見つつ、ステーキにナイフを入れると肉汁がドバッーと溢れ出てきた。低温調理でじっくりと火入れしたため、旨味がギュッと閉じ込められていることが確認できる。なお今回筆者がカットした部分だけで一人前のステーキといえるボリュームだった。
付属のオニオンソースをかけて食べてみると、水分量が多くしっとりとした質感で噛み応え抜群。薄いピンク色という絶妙な火加減で調理されたこともあって、噛むごとにジューシーな肉汁と旨味を味わえた。
肉の所々にサシも入っていたので、上品な脂のコクを楽しめるのも一興である。全体的にくどさ、獣臭さは全くなく、あっさりとした風味、味わいなので、豚が苦手な方でも美味しくいただける調理加減だと感じた。
また、味に飽きたとしても卓上調味料を駆使して味変が可能。塩、胡椒、醤油、わさび、柚子胡椒のなかから自由に味をカスタマイズできる。
醤油を垂らし、わさびを付ける食べ方も試してみることに。醤油の奥深しい香りとわさびの爽やかな清涼感がプラスされており、豚の旨味を何倍にも引き立たせてくれた。わさび醬油以外にも塩、胡椒を振ってシンプルに食べるのも良し、柚子胡椒でさっぱりといただくのも美味しいだろう。
思う存分に極厚の豚肉を楽しめるマロリーポークステーキ。ただ、やはり1㎏を2人でシェアするのは少々無謀だったらしく、終盤は常に満腹感との戦いであった。なんとか食べ切れたものの、よほど胃袋の容量に自信のある方以外は、店側が推奨しているグラム数を頼むべきだろう。しかし、3980円でこれだけの量のステーキを食べられるので、コストパフォーマンス的にはかなりお得だといえそうだ。
美味しさ的にも、コスパ的にも大満足だったマロリーポークステーキ。日々のストレスを発散するために、巨大なポークステーキを喰らってみてはいかがだろうか。
(取材・文=文月/A4studio)