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日本の自然を守るために知るべき3つの問題点 乱獲、外来生物……

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※画像はイメージ(新刊JPより)。

 昔は慣れ親しんでいた野草たちが絶滅したり、増えすぎたりしてしまい、日本らしい自然が失われつつある。どうしたら日本を代表する野草たちを守ることができるのか。

 『在来植物の多様性がカギになる 日本らしい自然を守りたい』(根本正之著、岩波書店刊)では、生態学者の根本正之氏が、日本らしい自然を守るにはどうしたらいいのか、外来種や品種改良をどう考えるべきなのか、動物たちと向き合うためには何が必要かなどを各地の保全活動をふまえ、今後の課題と将来を解説する。

日本の植生を守るための3つの問題点

 日本で身近な自然の中から多くの生き物たちの姿が消えていっていることに関心が向くようになったのは、なりふりかまわない戦後の復興が頂点に達した1980年代だという。アメリカの生物学者レイチェル・カーソンが農薬に含まれる化学物質の危険性に気づき『沈黙の春』を出版したのは1962年。カーソンは、生物濃縮の怖さや人間が自然をコントロールすることの愚かさを指摘したのだ。日本でも1964年に「生と死の妙薬」のタイトルで翻訳され、多くの人々の注目を集めた。近年、これまで軽視されてきた種の絶滅に結びつきかねない食物連鎖による有害物質の濃縮など、地球環境問題に対するカーソンの視点が再び取り上げられている。

 さらに現在は3つの問題点もある。

1.乱獲・盗掘や過剰な採取による個体の減少と、土地の造成や埋め立てによる生育地の消滅と分断

2.生活・生産様式の変化と地方の人口減少による半自然への働きかけの縮小・撤退

3.近年とみに増大する外来生物の侵入・定着

 半自然の野草の絶滅原因で多いものは、植物個体の盗掘や乱獲によるものだという。とくに園芸的価値が高く、あまり栽培されていないラン科植物にその傾向が強い。

 絶滅野草を取り戻すことは不可能でも、どこかに生き残った個体やタネがあるなら、再び私たちの暮らす環境に導入することは可能。その場合、「(1)個体数が著しく減少してもわずかに残っているか」「(2)その場所ではすでに消滅しているか」の違いを考慮する必要がある。

 (1)の場合は、残存個体から種子を採取して増殖すればよいが、近親交配により繁殖力や抵抗性などが低下するのを避けるため、できるだけ多くの個体からタネを取らなければならない。(2)の場合は、どこからでもタネや個体を持ち込んでもいいわけではなく、その地点が含まれる環境省の国土区分から導入すべき。

 本書では、根本氏を含めたメンバーで取り組んでいる、姿を消してしまった在来種を再導入して在来植物の種多様性を取り戻すための試みの実践実例も紹介している。

 今身近にある植物も、将来絶滅してしまう可能性はある。そうならないためにも、日本の気候や地形・地質に十分配慮した日本らしい自然の緑を再生するための手法を確立しなければならないと根本氏は述べる。現在どのような状況で、各地でどんな活動がされているのか、今後の課題や将来はどうなるのか。日本の植物の実態を本書から学んでみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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