自分の考えていることをうまく相手に伝えられなかったり、相手の気持ちを考えすぎて「面倒なお願い」ができなかったりして、結局全てを自分で抱え込んでしまう。こんな経験をしたことがある人は多いはず。
「こんなお願い、迷惑だろうな」と思うことでも、お願いしなければいけない場面もある。こうした悩みを解決するためには、「伝え方のコツ」を知ることが大事だ。『面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は? 人を動かす伝え方50の法則』(川上徹也著、アスコム刊)は、コピーライターであり、「伝えるプロ」の著者が、交渉やプレゼン、商談、告知など、日常のさまざまな場面で活用できる伝え方の50の法則を紹介する一冊だ。
面倒なお願いをするときに役立つポストイットのメッセージ
では、面倒なお願いをしたいときはどうしたらいいのか。サム・ヒューストン州立大学のランディ・ガーナー氏は、誰かに何かを依頼するとき、付箋(ポストイット)に手書きで感謝のメッセージを書くだけで、倍以上の効果があることを実験で証明したという。
付箋をつけることで効果があった要素は2つ。まずは、付箋が目立ったということ。そして、そこに個人的なメッセージが書かれていたことで「自分への特別な依頼である」という印象を相手に抱かせたことだ。
付箋にメッセージを書いて貼るという一手間を加えるだけだが、受け取る側は送り主の手間や心遣いを感じて心が動くのだ。もし、何か面倒なことをお願いするときは、「ご面倒だと思いますが、ぜひお願いします!」と心配りを感じさせるメッセージをポストイットに記して伝えるといいだろう。
相手に負担をかけない文章が信用を生む
また、文章で自分の意図をうまく伝えるにはどうしたらいいのか。そのためには、脳に負担を与えない表現を使って文章を書くことだ。2002年にノーベル経済学賞を受賞した認知心理学者のダニエル・カーネマン氏の著書『ファスト&スロー』の中では、人は脳に負担を与えない「認知容易」な文章を読むと心地よさを覚え、その書き手に「親しみ」や「信頼」を感じることが示されている。
では、脳への負担を減らす文章にするにはどうすればいいのか。それには、まず文字を見やすくすること。文章の中身は「論理が繋がっているか」が大切であり、「リズム」も重要だ。同じ接続詞や語尾が続いたり、文体がごちゃまぜになっていたりすると文章のリズムが悪くなり、読みづらくなってしまう。それを防ぐためにも、文章を書いたあとは、声に出して読んでみる。脳に負担をかけない文章を意識すれば、気持ちよく伝わるだけでなく、相手からも信用も得ることができるというわけだ。
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自分の考えや意図を相手に伝えるということは、仕事でもプライベートでも大切なことだ。うまく伝わらないと実感している人は、伝え方のコツを本書から学び、実践してみてはどうだろう。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。