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ウラン燃料はあと37cmで流出するところだった!?

なぜ、福島原発“5重の壁”は簡単に壊れ放射性物質が放出した?

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 こうなると、兵士が2発の弾丸を発射すれば、怒る兵士の数が1→2→4→8→……と増えていくのがわかりますよね。

 この「怒り」の連鎖をほったらかしにしたものが「原子爆弾」です。あっという間に、兵士の怒りが連鎖して、一つの都市を一瞬にして灰にするほどのエネルギーになります。原子爆弾は、この兵士たちを「怒り心頭」の状態にさせればよく、原理的にはそんなに難しくありません。

 兵士たちをぎゅうぎゅう詰めの部屋に集め、その部屋の全方向(屋根、床、すべての壁)からTNT火薬等を同時に爆発させて、彼らを押し潰してやれば足ります。

 調べてみたのですが、原爆の原料(プルトニウム等)さえ手に入れば、原爆をつくるのは、そんなに難しくないようです。

 一方、原子力発電も、兵士たちを「怒らせる」ところまでは同じなのですが、ポイントは、2発以上ではなく1発だけ撃たせる、というところにあります。つまり、「怒り狂った兵士による銃撃戦」が、戦線拡大しないようにコントロールするのです。

 どうやってしているかというと、兵士たちを全員プールの中に叩き込んで、銃撃戦をさせるのです。プールの中では、弾の速度は格段に遅くなります。また、兵士たちも水の中で、少々頭が冷えて、あまり弾を撃ちまくることもなくなります。

 しかし、決して「停戦」はさせず、銃撃戦を適度な規模に維持したまま続けさせて、兵士の数を1→1→1→1→……と、適度に怒らせ続ける――これが原子力発電における、核分裂反応です。まあ、乱暴にまとめると、原子力発電とは、戦場での「火事場泥棒」みたいなことをやって、エネルギーを取り出している、という理解でよいと思います。

2.原子力発電所の事故を防ぐ「5重の壁」とは何か?

 さて、今回の資料収集の段階で、沸騰水型軽水炉(BWR)の「5重の壁」という、放射性物質を管理するための設計思想について読みました。

 「おお、これは凄い! 完璧な防御手段じゃないか」

と思いながら、

 「あれ?」

と気がつきました。

 「なんで、今、人類史上最悪の原子炉事故の処理と放射能汚染が進行中なんだっけ?」

と。

 もう一度、「5重の壁」という内容を、読み直してみました。

(1)第一の壁:燃料ペレット

 原子力発電の燃料であるウランを陶器(セラミック)で固めた、角砂糖サイズの固形燃料です。このセラミックは2800度まで融けませんので、ウランが高温になっても融け出すことがありません。

(2)第二の壁:燃料被覆管

 1200度の温度でも融けない金属でつくられた、燃料ペレットを一列に入れる管です。

(3)第三の壁:原子炉圧力容器

 内部が90気圧になるまで爆発しない、世界最強レベルの圧力鍋です(ちなみに、通常の圧力鍋は2気圧です)。この鍋の中で兵士たちを闘わせます。また、兵士が暴走した時でも、放射能が外部に漏洩することを防ぎます。

(4)第四の壁:原子炉格納容器

 原子炉圧力容器を収納するロッカーのようなものですが、4気圧まで耐えられる構造になっており、これも放射能の漏洩を防ぐことを目的としています。

BusinessJournal編集部

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