皮膚のバリア機能低下に注意
—アトピーもアレルギーの一種なのでしょうか。
菅原 アトピー性皮膚炎は、もともとアレルギー体質の人や、皮膚のバリア機能低下により皮膚が弱くなった人に見られる炎症です。主に、湿疹とかゆみを引き起こし、再発を繰り返しながら慢性的になるのが特徴です。一般的には、6カ月以上(乳幼児は2カ月以上)症状が続くとアトピー性皮膚炎と診断します。また両親がアトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を持っている場合、その体質を受け継いで発症する可能性が高いといえます。
皮膚には元々、表面の皮脂膜や角質細胞、角質細胞間脂質などがバリア機能を担っています。そのため外から異物の侵入や体内の水分の蒸発を防いでいるのですが、アトピー性皮膚炎にかかる人はバリア機能が低下しており、異物が皮膚の奥まで入り込みやすい状態になっています。そこへなんらかの刺激によって、かゆみが生じた場合に皮膚を強く爪でひっかくことで炎症が起き、さらにバリア機能が低下することになります。
これを予防、改善するためには、皮膚への刺激を減らして正しいスキンケアを行うしかありません。最近の化粧品には、配合する有効成分を超微粒子にして、肌の中に入り込ませる技術が進み、肌が本来持つバリア機能を無効化するタイプのものが多くなっています。合成界面活性剤、防腐剤、着色料、香料、合成ポリマーなど、さまざまな化学物質が肌に悪影響を与えます。
例えば、合成界面活性剤はたんぱく質を溶かす作用があり、洗浄力が弱いものでも皮膚にダメージを与えます。皮膚の構造を壊して肌の深いところまで浸透しますから、アトピー性皮膚炎を患っている人は使用を控えるべきです。
アレルギー反応を抑制する薬など、治療の選択肢が広がっています。医師や薬剤師と十分に相談して、自分の体質に合った治療法を見つけてください。
–ありがとうございました。
(文=尾藤克之/ジャーナリスト、経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。