UQ mobileに先駆けてiPhone 5sを販売するなど、最近攻めの姿勢を見せ人気を獲得しているソフトバンクのワイモバイルブランドでは、新たにグーグルの「Android One」に対応したスマートフォンを投入することを発表。Android Oneでは一定期間、OSやセキュリティのアップデートが保証されていることから、安価なサービスながら安心感を与える戦略に打って出ているようだ。
先を見越し撤退する事業者も、今後の競争はどうなるのか
このように、各社共に市場拡大の好機を最大限生かすべく、さまざまな施策を打ち出し加入者獲得につなげようとしているのがわかる。しかしながらその影響によって、安価なサービスを提供する事業者同士の競争も一層激しいものとなってきている。
現在、移動体通信全体におけるMVNOのシェアは4~5%程度と見られており、ワイモバイルを含めると1割に近いシェアを占めつつあるようだが、大手3キャリアと比べるとその規模ははるかに小さい。もちろん市場自体は拡大基調ではあるのだが、今後もLINEの「LINEモバイル」など大きな事業者の参入が予定されており、小さいシェアのなかで今後、どの程度の企業が生き残ることができるかはわからない。
そうしたことから、あえてこのタイミングで撤退する企業も出てきている。MVNOの老舗としても知られ、「b-mobile」ブランドで通信サービスを提供してきた日本通信は8月10日、MVNOのひとつであるU-NEXTと協業し、個人向けサービスをU-NEXTに引き継ぐことを発表。事実上、コンシューマー市場から撤退することとなる。
同社は今年1月に、自社で直接サービスを提供する事業から、MVNOになりたい企業にネットワークを提供するなどして支援する、MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)事業へと軸足を移すことを発表していた。今回の発表はその方針転換を明確にしたものといえ、個人を対象としたB2Cのビジネスから、MVNOや法人を相手にしたB2Bのビジネスへと移行することにより、激化する競争を避け安定した売り上げを獲得する狙いがあると見られている。