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シャープが現在策定中の中期計画は、鴻海からの出資を前提としないかたちで進んでいる。13年度から3年間の次期中期経営計画で、15年度の連結売上高の目標を3兆円超とする方向だ。もし、3兆円を回復すれば、10年度以来となる。資本・業務提携したサムスン電子など液晶パネルの安定供給先を確保したうえで、冷蔵庫など白物家電と複写機の販売の拡大を図る。
しかし、事業パートナーを鴻海からサムスンにくら替えしても、シャープの危機は基本的に変わらない。13年9月に、2000億円の新株予約権付社債(転換社債=CB)の償還を控えている。サムスンが出資する103億円程度では焼け石に水。出資したという、象徴的な意味しかない。
シャープは転換社債の償還資金確保のため、1000億円の公募増資の計画をまとめた。残る1000億円は、液晶パネルの販売増などで手元資金を積み上げるつもりだ。だが主力取引行の、みずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行は、公募増資は実現可能性が低いと難色を示し、計画の練り直しを求めている。シャープの企業格付けは既に投機的な水準まで引き下げられており、社債などを発行することができなくなっている。そこで公募増資に活路を求めたわけだが、危機的状況にあるシャープの公募増資が成功する確率は極めて低いからである。もし強行した場合、1000億円を調達するためには、かなりの新株を発行しなければならず、1株当たりの利益は一層、少なくなる。利益の希薄化である。これが株価の下落の要因になるのは間違いない。
だから、メインバンク2行も、株式市場からの資金調達に難色を示しているわけだ。資金繰りの綱渡りが続く中、シャープの生殺与奪権は主力行が握っているということになる。
サムスン電子と提携しても、シャープが生き残れる保証はどこにもない。
(文=編集部)
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