“異色の”バトルロワイヤル系ゲーム『スペルブレイク』ヒットの予感…全ゲーム機でプレイ可
この原稿を書いている(正確には手直ししている)9月中旬は、Nintendo Switch(以下Switch)用ソフト『モンスターハンターライズ』『ゼルダ無双 厄災の黙示録』発売時期や、PlayStation 5(以下PS5)、Xbox Series XおよびXbox Series Sの販売価格など、立て続けに大きな発表がありました。
筆者は『モンスターハンター』シリーズはもちろんのこと、Switchの『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』で自由すぎる放浪の旅を、WiiUの『ゼルダ無双』で小気味良いアクションを楽しませてもらったクチなので、『モンスターハンターライズ』『ゼルダ無双 厄災の黙示録』の両作ともに大いに期待しております。
なお、PS5の予約は各サイトで試みたものの全滅。あとは抽選販売頼みという有様で、筆者は年内に入手できるか怪しくなってきました。とりあえず年末にかけて発売される大作ソフトは、新型XboxやPCでプレイし、PS5は買える機会をゆっくりと待とうと思います。
ただ、いずれも発売が11月以降と少し先なので、それらに関してはまた改めてお伝えするつもりです。ちなみに今月は11月、12月の商戦時期を控えた時期であり、24日から27日にかけて東京ゲームショウ(今年はオンラインイベントになりました)も開催されるため、いつ大きなニュースが飛び込んできてもおかしくない状況です。というか、何かを発表をするなら今しかタイミングがないので、積極的に情報を追ってみて損はないでしょう。
さて、今回メインで扱うタイトルはSwitch、PlayStation 4(以下PS4)、Xbox One(以下One)、Epic Games Store(PCゲーム用のプラットフォーム)でプレイできる基本プレイ無料ゲーム『Spellbreak(スペルブレイク)』です。Proletariat, Inc.が9月3日にリリースしたばかりの作品で、あの『Fortnite(フォートナイト)』のように、今後日本でも一気に知名度を上げて“ブレイク”するだけのポテンシャルを秘めた作品といえるでしょう。
本作は最大42人で同時対戦し、倒されたプレイヤーから脱落、最後の一人になるまで戦うバトルロワイヤル系のゲームです。ベーシックな遊び方はSquad(スコッド。分隊の意)と呼ばれるもので、ランダムに決まる仲間2人と組んで勝利を目指すことになります。初心者のうちは最後まで勝ち抜くのは難しいわけですが、味方をアシストすることで戦い方を学び、勝利に近づいていけるわけです。もちろん、友人と一緒にチームを組むとより楽しく遊べます。
この手のゲームは銃を撃ち合うものが大半ですが、『Spellbreak』は一風変わっていて、魔法使い同士の戦いを扱っています。宙を飛び交うキャラクターたちが豪快に魔法弾を撃ち合うビジュアルは、日本の某大人気アニメや、アメコミ原作の映画などを思い起こさせるもの。ついつい「魔貫光○砲!」「オラに力を分けてくれー」などと叫びたくなってしまった人もいるのでは?
銃を撃ち合うゲームの殺伐とした雰囲気は、どうしてもプレイヤーによって好みが分かれがちです。またサブマシンガン、ショットガン、アサルトライフル、バーストライフル、ロケットランチャー、スナイパーライフル……などなど、多彩な武器の種類や戦闘での役割を知らないと、すんなりとは入っていけなかったりもします。
その点、本作は、風、毒、炎、雷、石、氷の6属性の魔法で戦うので、ミリタリー系の雰囲気に馴染みにくい人も、感覚的にそれぞれの効果を掴んでいきやすいわけです。
さりとて奥が浅いわけでもありません。各属性の魔法はそれぞれ特性があるだけでなく、互いに影響を与えあって効果が変化します。たとえば「敵を引き寄せる風の魔法に炎の属性を与え、相手を引き寄せつつダメージ与える」「氷で凍結させた地面に雷で帯電させてトラップにする」「炎の魔法に毒を加えてダメージを増加させる」といった具合です。
それら相乗効果を得るだけでなく、「相手の作った炎の壁を風で貫通する」「毒の沼を石で埋める」など、相手の魔法を無効化するような使い方も可能で、魔法を熟知した者同士のハイレベルな戦いは、なかなかに見応えがあります。
流行りだしたら一気にブレイクできるのが強み
そんな独特の魅力を持った『Spellbreak』ですが、本作について書こうと思った理由はそれだけではありません。繰り返しになりますが、本作はSwitch、PS4、One、そしてPCでプレイ可能な、基本プレイ無料のゲームです。さらに今後は、スマートデバイスへの対応も予定しているとのこと。
現行のゲーム機のほぼすべてでプレイでき、持っている機種が違っても一緒に遊べるため、誰かを誘う際のハードルが無いに等しいのです。しかも基本プレイ無料ということもあり、誘われた側も気軽に参加することができます。
家にあるデバイスをフル活用して、お父さんはPC、お母さんはPS4、お子さんはSwitchという具合に、家族でチームを組んでプレイするのも楽しいかもしれません。
なお、こうした基本プレイ無料化、異なる機種で一緒に遊べるクロスプレイ化の動きは、いまや世界的な潮流と言っても過言ではありません。たとえば『Call of Duty: Modern Warfare(コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア)』や『ロケットリーグ』はもともと人気タイトルでしたが、クロスプレイへの対応でさらなる盛り上がりを見せています。また日本でも人気がある基本プレイ無料のバトルロワイヤル『Apex Legends(エーペックス レジェンズ)』は、2020年秋にSwithとSteam(PCゲーム用のプラットフォーム)に対応し、もちろん全機種でのクロスプレイが可能となる予定です。
ちなみに韓国のPearlAbyssCorp.の2020年3月30日のニュースリリースによれば、オンラインRPG『黒い砂漠』のPS4版とOne版のクロスプレイを実装したことにより、同時接続者数が126%、復帰ユーザーが350%、新規ユーザーが250%増加したとのこと。もちろんこれはオンラインRPGでの例であり、すべてのジャンルで同等の影響があるわけではないことに留意する必要はあります。
ただ、「クロスプレイにより友人を誘いやすくなる」ことは、そのゲームのプレイ人口や、コミュニティの活性化に大きく影響することはまず間違いないと言えるでしょう。
従来あまり見られなかったSwitchを含んだクロスプレイが増加傾向にある一方で、PlayStation 5やXboxといった新ハードも登場し、ますます加速していくとみられるこのムーブメント。大人気のゲームを、友人や家族と一緒に、ゲーム機やデバイスを選ばずプレイできる。そんな夢のような時代はすぐそこまで迫っています。
ゲーム機を売る会社にとってはなんとも頭の痛い話かもしれませんが、プレイヤーやクリエイターにとっては歓迎すべきことであるのは確かです。なにせこれまでは、自分たちがゲーム機を選んでいるつもりで、実質的には「囲い込まれていた」わけですから……。
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