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話題沸騰のauケータイ「INFOBAR」復刻版は意外に「買い」? 機能絞り低料金

文・取材=A4studio
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話題沸騰のauケータイ「INFOBAR」復刻版は意外に「買い」? 機能絞り低料金の画像1INFOBAR xv(「au HP」より)

 auの携帯端末である「INFOBAR(インフォバー)」シリーズが、今年で15周年を迎える。そしてauブランドを展開するKDDIと沖縄セルラー電話は7月12日、15周年を記念した最新モデル「INFOBAR xv」を今秋発売すると発表した。

 INFOBARといえば、ハイセンスなデザイン性で高い人気を誇ったauの名作ケータイ。初代INFOBARのプロダクトデザイナーである深澤直人氏が引き続きデザインを担当しており、初代や2代目INFOBARを彷彿とさせる見た目ながら、メッセージアプリ「LINE」が使えるようになっていたりと、現代のシーンに合った機能を持ったケータイとなっている。かつて一世を風靡した機種が復刻するとあって、発表当日のネットは大いに盛り上がり、「欲しい」という声も広まっていた。

 とはいえ、今やスマホ全盛期である。気にはなっているが、多機能なスマホに勝るだけの魅力があるのだろうか、と躊躇してしまうのも当然であろう。

 そこで今回、INFOBAR xvはどのような機能がついているのか、そしてスマホ全盛の今、あえて持つだけの価値はあるのかなど、ケータイジャーナリストの石川温氏に聞いた。

機能は最低限、目指すところは「デジタルデトックス」

 現代的にリファインされたINFOBAR xvの機能とは、果たしてどのようなものだろうか。

「表向きに公表はされていませんが、INFOBAR xvはアンドロイドをベースにつくられています。そのためLINEや、大手3キャリアが今年の5月から提供を開始した『+メッセージ』というショートメッセージサービスを使用できるようになっています。また、LTE回線対応となっているため、『VoLTE(ボルテ)』というLTEを活用した最新の音声通信サービスにも対応しており、クリアな音質で快適に通話できるようになっています。iPhoneのSiriなどと同じような『スマホ音声アシスタント呼出機能』、スマホやゲーム機をWi-Fiに接続できる『テザリング機能』なども現代ならではの機能ですね。

 ただ、初代や2代目のINFOBARに近いデザインを追求した結果として、『おサイフケータイ』『ワンセグ』などの機能は削らざるを得なかったようです。また、いくらアンドロイドをベースにしているとはいえ、従来のスマホのようにさまざまなアプリを使用することもできません。全体的に見て、通話やメッセージといった、コミュニケーション機能に特化した端末となっている印象です」(石川氏)

 スマホ全盛期である今、なぜauはここまで機能を絞ったケータイをリリースしたのだろうか。

「確かにスマホは機能が豊富で便利ですが、それゆえにスマホが片時も手放せなくなる『スマホ依存症』に陥る方も少なくありません。INFOBAR xvの開発者の方は『デジタルデトックス』という言い方をされていますが、これだけスマホが普及した今だからこそ、あえて機能を絞ったケータイを提案したのでしょう。スマホに縛られない生活を送ってみてはどうか、と提案する意味合いも大きいようです」(同)

1番の狙いは「往年の名作が復活」と話題になること

 また、石川氏はINFOBAR xvを「記念モデルのようなもの」と評する。

「はっきり言って、auはINFOBAR xvで儲けようとか、スマホに取って代わる存在にしようとは考えていません。そもそも、機能が絞られているということはデータ通信量も少ないということなので、必然的に毎月の使用料金も低額になります。つまりauにとって、INFOBAR xvはあまり儲からない機種なんです。

 ではなぜ今回発売に踏み切ったかといえば、それによってauのブランド価値を向上させる狙いがあったのだと考えられます。というのも、現在のau、ドコモ、ソフトバンクの大手3キャリアは、料金プランと取り扱い機種のどちらも大差ない、ほぼ横並びの状態となっています。さらに今後、楽天が第4のキャリアとして参入することも決定していますので、ここでauの名作であるINFOBARを投入することで、“auは他のキャリアとは違う”というイメージを出していきたかったのでしょう。

 もちろん実機が売れるに越したことはありません。ただ、今回の発表があったとき、ネット上では大いに盛り上がりを見せていましたので、その時点でauの狙っていたイメージ戦略は成功しているわけです」(同)

INFOBARを使うならスマホとの「2台持ち」がベター

 果たして今回のINFOBAR xvは「買い」なのか、そして実際に持つとしたらどのように使うべきか。

「例えばスマホを使ってはいるがアプリはほぼ使っていない、通話だけできればいいよという方、またはスマホから距離を置いてデジタルデトックスしたいという方であれば、スマホから乗り換えるだけの価値がある端末だと思います。

 ただ、もはやほとんどの人にとってスマホは生活必需品となっていますので、完全に乗り換えるとなると生活に支障が出てしまいかねません。通話やメールはINFOBARに集約し、そのほかはスマホやタブレットで行う2台持ちというかたちが、最も現代の生活に即した使い方ではないでしょうか」(同)

 あくまでスマホから乗り換えるのではなく、場面によって使い分ける2台持ちが最適解とのこと。2台持ちするうえでのポイントや注意点について、石川氏はこう語る。

「2台持ちとなると使用料金が高くなってしまうのでは? と心配するかもしれませんが、通話など最低限のケータイ機能に絞ったプランであれば、かなり安く抑えられます。そういったケータイ機能はすべてINFOBAR xvに集約して、スマホは格安SIMのものを使用すれば、2台持ちでもあまり使用料金は高くなりません。

 そして1番重要なのは、INFOBAR xvをコミュニケーションツール専用機と割り切ることでしょう。おサイフケータイなどの機能が搭載されていない以上、普段からスマホ一つだけ持って出かけて、会計などもすべてスマホで済ませているというような方は、むしろ不便に感じてしまうかと思います。

 往年の名作なだけあって根強いファンも多いですし、なによりデザインが魅力的なケータイです。スマホとの2台持ちで使い分けがしっかりできるなら、末永く安心して使っていけるかと思います」(同)

 スマホのような便利さはなくとも、持つだけでワクワクするようなデザイン性が魅力的なINFOBAR xv。スマホ時代の今、あえて使ってみてはいかがだろうか。
(文・取材=A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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