毎年、秋頃に新しいモデルが発表されるiPhoneシリーズ。2021年秋はiPhone 13が登場し、世界中で大きな話題となった。
その一方で、iPhone 13が発表されたことで、それまでの最新モデルだったiPhone 12は“型落ちモデル”の仲間入りを果たすことに。これで現在、アップルが公式で取り扱っている型落ちモデルはiPhone 11(ハイエンドモデルも含む)、iPhone SE(第2世代)、iPhone 12(miniやハイエンドモデルも含む)となった。
型落ちモデルというと聞こえがいいものではないが、近年のiPhoneの機能性はどれも一定以上の水準に達している。そのため、機能性はそこそこに、本体の購入価格をできるだけ抑えたいというユーザーが、あえて型落ちモデルをチョイスするケースも少なくないだろう。
そこで、今回はITジャーナリストでスマホ安全アドバイザーの鈴木朋子氏に、現行の型落ちiPhoneの特徴やメリットなどを聞き、狙い目の型落ちiPhoneを紹介していきたい。
“昔ながらのiPhone”――iPhone SEは“実質0円”で購入可能?
さっそくだが、2019年発売のiPhone11は現在もアップル公式ストアで取り扱っているものの、各キャリアや家電量販店に在庫がほとんどない状態。そのため新品の型落ちiPhoneをおトクに購入したいのであれば、iPhone SEかiPhone 12が候補に絞られてくるので、今回の比較では除外する。
ではまず、前提から確認していこう。年々新しいモデルが登場して進化を遂げているように見えるiPhoneシリーズだが、その機能面の成長は近年“頭打ち状態”ともいわれる。
「やはり、毎回革新的な機能を搭載させてアップデートするのは難しいので、毎年発表される新モデルのiPhoneは基本的にはカメラを中心に少しずつ進化していますね。ですから1、2年前の型落ちモデルであっても、機能的には十分快適に使えます。
また、今はどちらかというと、最新機種というよりiPhoneであることを重視するユーザーが多いです。機種変してもデータが引き継ぎやすいとか、これまでずっとiPhoneを使ってきたからといった理由が多いようですね。そのような“iPhoneからは離れがたいけど、最新の機能は必要ない”という人なら、iPhoneの型落ちのモデルを選ぶのがコスパ的に良いので堅実でしょう」(鈴木氏)
では、ここからはiPhone SEとiPhone12の特徴を見ていこう。
まず、iPhone SE。廉価モデルの第2弾として20年4月に発売されたこちらは、現在、アップルの公式サイトでは4万9800円(税込、以下同)から販売。発売当初の値段が4万4800円からだったので現在のほうが定価は上がっている。
しかし、キャリアや家電量販店で新規契約や他キャリアからの乗り換え時のキャンペーンが適用されれば、タダ同然で販売されていることもあるため、現在あえてこのモデルを選ぶユーザーも少なくないようだ。
「iPhone SEシリーズは廉価モデルとして発売されているだけあり低価格です。ただ、不自由なく使えるレベルではありますが、CPUがやや古く、5Gにも対応していません。ですから徹底的に価格を抑えたいという人や、iPhoneからは離れられないけど、新しい機能は必要としていないという人のニーズにマッチするモデルだと思います。
また今、公式で買えるモデルのなかでは唯一、昔ながらのiPhoneらしさが残っているとも言えるでしょう。ホームボタンとTouch IDが搭載されている最後のモデルですし、ディスプレイも4.7インチと片手で操作できる大きさです。ポケットに入れて持ち歩きやすいというのも特長ですよね。ですからiPhone 7やiPhone 8など少し前のモデルに愛着があるという人にもピッタリでしょう」(鈴木氏)
ほぼ“実質0円”という魅力を考えれば候補に入るのも納得だ。
5G対応のiPhone 12もすでに格安、先進性とおトク度のバランス良し
次に、20年10月に発売されたのも記憶に新しいiPhone 12。5G通信にも対応しているが、iPhone 13が発売されたことで “型落ちモデル”という位置付けになっている。
発売時の価格は8万2280円からだったが、現在、アップルの公式ストアでは6万9800円から販売されている。また、iPhone 13とさほど機能性に差がないともいわれているにもかかわらず、新規契約や他キャリアからの乗り換え時のキャリアや家電量販店のキャンペーンをうまく使えば、なんと本体代が2000円ほどでゲットできるケースもあるのだ。
「このモデルの最大の特徴は、やはり5G通信に対応しているというところだと思います。機能面でもiPhone 13と大差ないので、先進的な機能を搭載したモデルが欲しいけれど、価格は少しでも抑えたいという人にとっては、かなり狙い目ではないでしょうか」(鈴木氏)
1年と少し前に最新型として発売されたばかりで当時8万円以上だったモデルが、今は2000円程度で買える可能性もあるとなれば、非常におトクだと感じる方も多いはず。
さて、今から買い換えるならば、5G対応か否かという点も考えなくてはいけないところだろう。どのような観点から、考えていくのがいいのだろうか。
「まず、自分の行動範囲が5G通信を使える地域なのか、使えないならば、いつから使えるようになるのか、確認する必要があるでしょう。また、次にスマホを買い換える2年後はすでに5G通信は当たり前になっているでしょうから、乗り遅れたくない人や重い動画をよく見る人は今から5G対応モデルを選んでおいたほうが安心かもしれませんね。5G対応モデルでも、4G通信も使えるので、問題ありません。
とはいえ、4Gでも不便を感じていないのであれば、慌てる必要もありません。現状、5G対応のプランはどうしても高くなってしまうので、5G通信がもう少し一般的になるまで待つのも手ではないでしょうか」(鈴木氏)
まずは自分が普段どのようにスマホを使っているのか、どんな機能をスマホに求めているのかを洗い出す必要がありそうだ。そのうえで、特に新しい機能を必要としておらず、ひと昔前のiPhoneに愛着がある人ならiPhone SEが、機能性やスペックが良く比較的新しいモデルを安くゲットしたい人ならiPhone 12が狙い目だろう。
型落ちモデルという選択肢を取り入れて、自分のニーズに合致するiPhoneをおトクに手に入れてもらいたい。
(取材・文=福永全体/A4studio)
※本記事の価格などのデータは2021年12月24日現在のものです