iPhone、iPad、Macなどを擁するアップルのファンにもあまりその存在が認知されていないのが、純正アダプタシリーズだ。
アップルの純正アダプタといえば、iPhoneユーザーならばまずライトニングケーブルが思い浮かぶだろうが、それ以外にも実は使える・面白い純正アダプタがあるのだ。そこで、今回はアップルの純正アダプタとその使い道について、携帯ガジェットに詳しいライターの白根雅彦氏に話を聞いた。
アップルの純正アダプタは大別すると4種存在する
白根氏によると、アップルの純正アダプタは大きく分けて4種類あるとのこと。ひとつずつ解説していただこう。
「1つ目は『Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ』(1100円、税込、以下同)。こちらは、iPhone 7以降廃止されてしまったイヤフォンジャックの代わりに、イヤフォンやヘッドフォンをiPhoneなどにつなぐための変換ジャックであり、iPhone Xまでは本体に同梱されていました」(白根氏)
例えば、iPhoneユーザーが音を出さずに動画や音楽を楽しみたいときなどに、アップル純正以外のイヤフォンでも使えるようになるわけだ。
「2つ目はiPhoneとテレビをつなぐための『Lightning – Digital AVアダプタ』(6380円)。アプリゲームやiPhoneで撮影した動画をテレビにミラーリングできるなど、iPhoneでできることをより大画面で楽しみたい方におすすめです。また最大1080pのHD画質で出力されるため、ストレスなく大画面で迫力のある映像を楽しめることも魅力でしょう。接続方法はLightningコネクタ搭載のiPhone、iPadなどから本製品をつないだ後に、別売りのHDMIケーブルでテレビやモニターへつなぐだけと非常に簡単です」(白根氏)
なるほど、スマホで撮った動画やスマホゲームをテレビの大画面で楽しみたいという人にはうってつけの純正アダプタだ。
「3つ目は、デジカメやキーボードなどの電子機器に接続するための『Lightning – USBカメラアダプタ』(3850円)。本製品は、Lightningに対応するiPhone、iPadからデジカメ、キーボードに接続できるなど汎用性が高いのが特徴です」(白根氏)
この純正アダプタがあれば、ノートPCなどを持っていなくても、iPhone、iPadなどとキーボードを接続してPCのように利用することができるということか。キーボードの消費電力によっては、電源の確保が必要になる場合もあるが、消費電力の少ないキーボードを接続することができれば、カフェやファミレスなどの屋外での作業も可能になりそうだ。
「4つ目が、SDカードを読み込むための『Lightning – SDカードカメラリーダー』(3850円)。デジカメなどで撮影した写真をiPhone内に読み込むことができるほか、SDカードに保存されたWord、Ecxelなどのファイルを読み込めるなど、こちらも汎用度の高い製品となっていますね」(白根氏)
万が一、PCが故障しても、SDカードに保存されているファイルなどをiPhone上で確認できるため、不測の事態に応急的な対応ができるだろう。
有線接続にまだアドバンテージがある分野とは?
白根氏は純正アダプタ以外にも使えるアップル製品について紹介してくれた。
「例えば、値は張りますが『TV HD』(17800円)でiPhoneとテレビをつなぐと、スマホに映っている画面をテレビに映し出せます。そのため、純正アダプタの購入を検討している方は、こういったほかの方法も考えてから購入したほうがいいでしょう」(白根氏)
そもそもアップル自体の販売戦略として、有線接続となる純正アダプタはそこまで重要視していないのだろう。
「おっしゃるとおりです。近年のアップルは有線接続を必要としない世界を目指していますからね。すべてワイヤレスで行えるようにして、有線での通信自体を廃止する動きに向かっているように感じます。
アップル純正の『MagSafe充電器』(4950円)は、充電パッドの円の上に置くだけで充電ができるという代物です。従来のワイヤレス充電器は、充電器とスマホの中心を合わせなくてはいけませんでしたが、こちらは内蔵されている磁石のおかげで自然と中心が合うようになっています。このワイヤレス充電に慣れるとケーブルの抜き差しが面倒に感じてしまいますね」(白根氏)
だが白根氏は、まだ有線接続にアドバンテージがある分野もあると考えているそうだ。
「先ほど申し上げた通り、Lightningケーブルはもうあまり必要とされないと思いますので、今後は『Magsafe』の技術でワイヤレスのデータ送信ができるようになるのが理想ですね。
ですが、一眼レフなどのデジカメとiPhoneをワイヤレスでつなぐときなどは、Wi-Fi経由でつなぐとまだ結構手間に感じます。その間、iPhoneからインターネットに接続できなくなってしまいますし、その場合はまだ有線接続のほうが便利でしょう。
それと個人的には、有線でつなぎたくなるようなオーディオ関係の純正アダプタが出てきてほしいです。『Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ』は、充電用とオーディオ接続用で2つに分岐されていないので、iPhoneに付けながら充電できるアダプタが発売されると喜ぶユーザーも多いでしょう。
また、高品質のマイクをiPhoneにつなぐための専用アダプタがあるといいのではないでしょうか。自宅でZoom会議などをする機会も増えているでしょうから、高性能のマイクを付けて参加したいという需要はあると思います」(白根氏)
アップルはこのまま完全ワイヤレス化に向けて進んでいくのかもしれないが、現状ではまだ有線接続の純正アダプタが活躍する機会はありそうだ。意外と認知度の低いアップル純正アダプタを使いこなし、ビジネスシーン、プライベートシーンをより快適にしていただきたい。
(文=A4studio)