プラン自体は画期的なのだが……
広告の料金を見て店頭に行って説明を聞くと、条件の違いによってそれより高い料金なのだが、その気になっていたので契約してしまう。そんな経験は筆者にもある。「携帯の料金なんてそんなものだ」という諦めのようなものも、消費者にはあるのではないか。
「auだけでなく、ドコモやソフトバンクも似たようなことをやっています。なんらかの条件で割引になった場合の、安くなったほうの価格をでかでかと書いています。これがまだ一般的な割引だったらいいんです。たとえば2年契約の場合の料金を出しているのであれば、ほとんどの人が2年契約するんだから、それでもいいかなと思います。
今回の場合はあまりに特殊な条件付けなのに、その割引後の価格をでかでかと書いて、かつ正規料金を大きく謳っていないというのは大問題だと思います。auデータMAXはプランとしてはとてもいいんです。細かいことをいうと、テザリングのデータ容量の上限がある(20GB)ことが気にかかりますが、動画や音楽などのサービスやアプリを使う際にデータ容量の上限のない使い放題というのは画期的です。せっかくいいプランをつくったのに、消費者を欺くような価格表示をしているのは、イメージを損ねていてもったいないなと思います」
商店だろうがスーパーマーケットだろうがデパートだろうが、割引後の価格がそこに提示されていればその料金で買えると思うのが普通だ。その価格で買うためにはさまざまな条件をクリアしなければならないと改めて聞かされるなどということはない。なぜ携帯電話の業界だけ、こんなことがまかり通っているのだろうか。
「もともとは、こんなことなかったんです。十数年前までは良心的にちゃんと書くのが一般的でした。ところが『うちはこんなに安い』『うちはこんなに割引をやっている』という値引き合戦の結果、割引価格を出すようになり、皆やってるからということで、各社とも平気でやるようになってきました。
今回は政府に問題があると思います。昨年の8月、菅義偉官房長官が携帯電話料金について『4割程度下げる余地はある』と発言しました。政府が民間の企業に口を出す。これ自体が間違っていると思います。その圧力に対して、4割下げたように見える帳尻あわせみたいな割引をしているわけですよ。携帯会社側のやむを得ない部分もあったと思います」