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「3カ月HTML学習→毎月、多額の収入」は本当か…副業で高単価の案件受注のコツ

取材・文=文月/A4studio、協力=片岡亮太/ウェブデザイナー
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「gettyimages」より

 ウェブページを作るためのマークアップ言語である「HTML(HyperText Markup Language)」。近年では独学で習得し、副業としてウェブページ制作の案件を得る人もいるそうだ。少し前には、独学でHTMLを習得し月5万円を稼いだというネット上への投稿が話題になっていた。投稿主は、3カ月間HTMLの勉強を行った後に、クラウドソーシングサイトでランディングページ制作の案件を受注。発注元の指示通りに制作するだけで、完全在宅作業で「最高」と綴っている。

 果たして3カ月勉強するだけで、安定して月5万円稼ぐようになるというのは可能なのか。そこで今回は『Web制作フリーランス入門講座 年収1200万円&週休3日を実現する方法』(ソーテック社)の著者でランディングページ専門ウェブデザイナーの片岡亮太氏に話を聞いた。

HTMLの勉強はそこまで難しくないが、受注するのは大変

 HTMLは習得までどれくらいの時間がかかるのか、また案件にはどのような種類があるのか。

「HTMLの習得は、ほかの言語に比べれば比較的容易でして、おおよそ1カ月も勉強すれば基本的な使い方は理解できます。もちろんHTMLを仕事として、副業として使いこなすとなると話は別ですが、単価が1~2万円で月5万円ほど稼ぐという目安であれば、ウェブ制作会社並みの専門性はいらないでしょう。ただ案件の種類でいうと、実はHTMLだけの依頼というのは少なく、CSSやJavaScriptなどの言語やウェブデザインのテクニック、実績を必要とするものが多いです。こうした案件は単価が高く、初心者にとってはハードルが高いのですぐには取り組めない仕事でしょうね。

 HTMLだけの案件というと、一例ですが画像や文章を挿入し、HTMLを使ってWebページとしての体裁を整える、もしくは簡単なランディングページを制作するという仕事であれば、スキルがHTMLだけでも受注できる場合があります。単価の相場は1万円ほどで、作業は初心者だと1~2時間はかかってしまうかもしれませんが、慣れてくれば30分ほどで終わらせることも可能だと思いますので、割のよい仕事ということもできるでしょう」(片岡氏)

 だが安定的に案件を受注したり、より収入を増やしたいとなると、難易度は跳ね上がるそうだ。

「副業となると、月ごとの収入の変動がなく、目標とした金額を安定的に稼ぐことが重要になってきます。こうした前提で申し上げると、習得スキルがHTMLのみだと安定受注、高収入は難しいでしょう。ウェブページ制作の案件の受注方法は、人脈だったり、SNSだったり、自分で広告を出したりとさまざまですが、『クラウドワークス』『ランサーズ』といったクラウドソーシングサービスを経由するのが一般的。こうしたサービスでは、案件も比較的豊富に存在し、クライアントと受注者の間に仲介会社が存在することから、支払いも保証されているなど初心者にはうってつけのサービスなのですが、その分、競合が多いのも難点です。

 HTMLのみの案件は、言語を学んでしまえば、誰でも簡単に始められるので、参入障壁が低い。コーディングの質もそこまで高度なものは求められておらず、1年目と10年目の方の違いもわからないほど単純な作業になっていることが多いです。ですから案件ひとつを受注するのにかなり苦労するケースもありますし、仮に月10万円以上稼ぐとなるとプライベートの時間もかなり削る必要があるかもしれません。1本2万円の案件をもらえたとしても、月5本ほど受注しなくては目標金額には届きません。提案から作業、連絡のやりとりなどを考えると、本業以外の時間は働き詰めという、苛酷なスケジュールになってしまうこともありそうです」(同)

単価は二極化、ライバル増のなかで大切にすべき心がけは

 仕事を獲得するまでの労力や受注率のことを考えるとするならば、HTMLだけでは心許ないだろう。

「現実的にHTMLだけを習得して稼ぐのはやや難しいので、ほかの言語の習得や自分にしかない付加価値を高めていくことが、結果的に仕事の獲得へとつながります。先述したCSSやJavaScriptは、現在のウェブページ、ランディングページ制作に必要不可欠な言語となっており、クラウドソーシングサービスで募集されている案件でもこの2つの言語を求められるケースも多いです。したがって、もしウェブページ、ランディングページ制作を副業にした場合、HTMLと並行しながら勉強するのが効率的でしょう。

 ほかにも『デザインができます』『ライティングができます』といった付加価値を付けて、自分ならではの強みをつくっていくのもおすすめ。HTMLだけしか習得していない競合と差別化できますし、何より高単価の案件を受注できる可能性が高まります」(同)

 では稼ぎ方のコツは何か。

「現在、単価は極端に二極化している印象があり、誰でもできる簡単な案件は値下がりし、逆に専門性の高い案件はますます値上がりしています。私がこの業界に身を置くようになった10年前と比較すると、単価は減少気味ですが、それでも副業で5万円ほど稼ぐぐらいでしたらまだまだ可能だと考えています。あえて申し上げるとするならば、資本金が数百万円規模の小さい会社を狙っていくと、予算がまだ限られており、初心者に任せても問題ないようなリスクの低い案件も少なくないので、受注率も上がるかもしれません。

 ですが、自ら知識をアップデートしていかなければ、将来的には競合に差を付けられてしまう可能性もあるでしょう。ここ10年でウェブページ制作のスタンダードは大きく変わっているため、ひとつの言語やスキルに固執し続けていると、どんどん先を追い越されてしまいます。トレンドを追う意識は忘れてはいけません」(同)

 将来的に副業収入をアップさせていきたい場合はどうすべきなのか。

「目標設定は高くしておきましょう。この業界は『100万円、200万円稼ぐ』と意気込んでやっと10万円稼ぐことができる……というシビアな世界です。初心者のうちは、目標を低くして構いませんが、継続的に高い収入を維持したいとなると、作業量や稼ぐためのマインドも異なってきます。目標設定はモチベーションアップにもつながりますし、達成できれば独立や制作会社への転職も視野に入れられるので、常に高い目標を持つ心がけはしておいてください」(同)

(取材・文=文月/A4studio、協力=片岡亮太/ウェブデザイナー)

片岡亮太/ランディングページ専門ウェブデザイナー

片岡亮太/ランディングページ専門ウェブデザイナー

ウェブコンサルタント・セミナー講師
1986年12月生まれ。北海道札幌育ち。東京都在住。
早稲田大学教育学部卒。
流通会社のサラリーマン、飲食店のマネージャーなどの仕事を経て、未経験からウェブデザインの独学を始めて半年間後にフリーランスとして独立&起業。
その後ウェブ広告で用いられるランディングページ制作を専門としながら、受注からデザイン・コーディングまで完全個人体制で年間100件ペース&通算450件以上の案件を担当し、従来のウェブデザイナーの枠に囚われない思考や働き方を確立する。

Twitter:@kataokadesign

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