スマホの月額料金を節約したいと思っている人にとって、格安スマホは魅力的な選択肢のひとつ。
また格安スマホに乗り換えると「通信速度が安定しないのではないか」「端末をそのまま使い続けることができなくなるのでは」と不安もありますよね。
そこで今回は「格安スマホはやめとけって本当なのか」や「後悔しない格安SIM選びのポイント」を図解。YES/NOで答えるだけで、自身が「格安スマホに向いているのかどうか」も分かるので、ぜひ参考にしてください。
また後半では実際に格安スマホの1つ「mineo」で、お盆の東京駅や新幹線、またロックフェスの会場で速度計測。人混みで本当に格安スマホは繋がらないのか検証しました。検証結果もご紹介します。
格安スマホとは?格安SIMを提供しているキャリアの例
格安スマホとは、大手キャリアよりも安い月額料金でスマホを使えるサービスのこと。ちなみに正確には「格安スマホ」ではなく、「格安SIM」が正しい表現です。
代表的な格安スマホキャリアは以下の通り。
MVNO | MNO |
mineo | UQ mobile |
IIJmio | 楽天モバイル |
OCN モバイル ONE(※) | Y!mobile |
BIGLOBEモバイル | ahamo |
イオンモバイル | povo |
LINEMO |
(※)OCNモバイルONEは2023年6月26日に新規受付を終了済み。ただし利用中のユーザーは継続利用可能なため本記事では注釈付きの上で記事内で引き続き紹介しております。
参考元:OCNモバイルONE
【図解ですぐ分かる】格安SIMがおすすめの人・おすすめしない人
格安SIMがおすすめの人とおすすめではない人をすぐに確認できるチャート図を作りました。
格安スマホはやめとけと言われる理由
大手キャリアと比較して、しばしば格安スマホ(格安SIM)は批判の対象にもなります。「格安スマホはやめとけ」と言われる理由には以下のような項目が挙げられます。
キャリアメールやLINEのID検索が使えない場合も
格安スマホでは大手キャリアのメールアドレス(@docomo.ne.jpなど)が使えません。意外かもしれませんが、たとえばahamoでもドコモのキャリアメールは別途手続きしないと使用できません。
いままで使っていたキャリアの解約時、もしくは解約から30日以内に「メール持ち運びサービス」を契約し、月額料金を払って使う必要があります。
キャリア別のサービス内容と月額料金は以下の通り。
キャリア | 月額料金 (税込) |
条件 |
ドコモ | 330円 | 回線契約にもとづいて発行されたdアカウントのIDを持っていること |
ソフトバンク | 330円 | 持ち運びたいメールサービスを利用されていた回線契約のSoftBank IDを持っていること |
au | 330円 | au回線契約にもとづいて発行されたauIDを持っていること |
キャリアメールを使うためだけに月330円を支払う必要があるのは大きなデメリット。さらにメールアドレスの変更はできません。
また格安SIMでは、LINEの年齢確認ができないため、ID検索機能が利用できないことがほとんど。新しくユーザーを友だちにしたい場合は別の方法を使う必要があります。
端末の選択肢が限られることも
格安SIMでも端末の販売をしているキャリアは多くあります。しかし、種類が限られている上、在庫状況に限りがある場合も。
また、LINEMOなど、そもそも端末販売をしていないキャリアもあります。
口座振替に対応していないキャリアがある
格安SIMでは支払い方法や初期設定に制限があることもあります。
キャリアの場合、請求書払いやモバイルバンキング払いなどが可能。一方、格安SIMの場合、支払い方法はクレジットカードか口座振替のみの場合がほとんど。また、初期設定は自分で行わなければならないことも。店頭で申し込みやサポートを受けられるキャリアはごく少数です。
MVNOは通信速度が不安定でつながりにくいことも
MVNOは大手キャリアから借りた回線帯域を提供する仕組み。なおかつ借りた回線帯域は、多数のユーザーでシェアされます。そのため、エリアや時間帯によっては通信速度が不安定になりやすいのは事実。とくに混雑した場所や夜の時間は繋がりにくくなることがあります。
【実機検証】格安スマホは本当に繋がらないの?混雑している場所で測定
筆者は2017年から格安スマホを利用し、特に普段使いで「繋がらない」と感じたことはありません。
とはいえたとえば「お盆の新幹線」や「東京駅」、また「夏フェス会場」といったただでさえ繋がりにくい箇所でハードに速度計測を行ったことはありませんでした。そこで今回はせっかくなので、上記の3通りで速度を計測しました。
結論としては「夏フェス会場のような過酷な環境でなければ、格安スマホで十分に繋がる」というものでした。実際の測定結果をご紹介します。
使用した格安SIMと端末
筆者が契約しているのはmineo(Aプラン)。端末はPixel 6aを利用しています。なお、速度を計測するにあたり、インターネット通信速度の計測サービス「Fast.com」を利用しました。
通常時の上り/下り速度
通常時(在宅時)の速度は、下りが140Mbps、上りが8.4Mbpsでした。
東京駅での上り/下り速度
お盆休み真っ只中の東京駅で計測してみた結果、下りが9.3Mbps、上りが18Mbpsでした。
新幹線車内での上り/下り速度
新幹線の中で速度を計測したところ、下りが27Mbps、上りが14Mbpsでした。東京駅よりは早いものの、自宅よりは繋がりにくいという結果でした。
ロックフェスでの上り/下り速度
筆者はお盆中、蘇我で開催されるロックフェスに行く機会がありました。せっかくなので入場時の待機列で計測を実施。結果は下りが2.1Mbps、上りが24Mbpsという、もっとも低い数値になりました。
総じてmineoでの検証結果としては、夏フェスのような過酷な環境でなければ「お盆の東京駅でも快適に使える」という結果でした。格安スマホが「特段繋がりにくい」ということはなく、混雑している百貨店でも快適にQRコード決済も使えました。
そのため「繋がりにくさ」を理由に、格安スマホを選ばないのはちょっと勿体ないかもしれないなという印象です。
ここまではどちらかと言えば「普段使い」に近しい内容を解説してきました。普段使い以外の注意点としては、やはり「緊急時の利用」です。
災害時に格安スマホが使えない可能性があります。その理由は以下の4つ。
・音声通話への規制
・災害用伝言板への登録不可
・緊急速報への非対応
・データSIMの場合は緊急通報も不可
【緊急時の注意点】音声通話への規制
災害時には、大手キャリアは音声通話を制限することがあります。これは、緊急電話や救助活動などの優先的な通信を確保するためです。MVNOは大手キャリアの回線を借りているため、当然この規制の影響を受けます。
【緊急時の注意点】災害用伝言板への登録不可
災害用伝言板とは、震度6以上の地震や大規模な災害が発生した際に、大手キャリア契約者が自分の安否情報やメッセージを登録できるサービスです。登録された情報はインターネットや電話で誰でも閲覧可能です。
そして格安SIMを使っている場合、災害用伝言板の「閲覧」こそできるものの、登録は不可。いざという時に「災害用伝言板」が使えないのは大きなデメリットでしょう。
よって緊急時には代替手段となる災害用伝言板を使うことが必要です。たとえばNTTが提供している災害用伝言板はネットを通じて誰でも利用できます。
また、音声通話SIMを使っていれば災害用伝言ダイヤルを利用することは可能です。
【緊急時の注意点】緊急速報への非対応(一部の格安スマホ)
緊急速報とは、地震や津波などの災害発生時に国から送られる情報。この情報は一般的なメールではなくプッシュ通知という形でスマホに届きます。
格安SIMでも受信は可能ですが、「格安スマホ」とセットで利用している場合、緊急速報やJアラートなどが受信できない機種もあるので注意しましょう。
【緊急時の注意点】データSIMの場合は緊急通報も不可
データSIM、つまり音声通話ができないSIMを利用している場合は、緊急通報(110、119、118)が利用できません。
なお、LINEなどの無料通話アプリやIP電話からも緊急通報は不可となっています。
格安スマホにしない理由は何?乗り換えると得られるメリットまとめ
紹介してきた通り格安スマホにはデメリットもありますが、もちろんメリットも多くあります。以下に、改めて格安スマホのメリットをまとめてみました。
月額料金が安い
格安スマホを利用する最大のメリットは、月額料金が安いこと。大手と比べ、半額以下になる場合も少なくありません。通信が不安な場合はMNOの格安スマホ、つまり大手キャリアのサブブランドを選べば大手の回線を確実に利用できるためおすすめです。
使用中の端末を引き継いで使用できる
格安スマホのもう一つのメリットは、使用中の端末を引き継いで使用できること。以前はキャリアで購入した端末は「SIMロック」されており、解除しなければ他のキャリアでは使えませんでしたが、2021年10月に廃止されました。
2021年10月1日以降に購入したスマホなら、大手から格安スマホに乗り換える際も、使っている端末をそのまま利用できます。
契約期間の縛りがないことが多い
今でこそ廃止されていることの多い大手キャリアの「2年縛り」「3年縛り」などの契約期間。プランによっては縛りが残っている場合もあります。しかし、格安スマホの多くは契約期間の縛りがなく、いつでも解除可能です。
【後悔しない格安SIM選び】おすすめ格安SIM5選
おすすめの格安スマホ会社をチャート図にまとめました。
1.mineo(MVNO)
mineoは、ドコモ・au・ソフトバンクの3つの回線から選べるMVNOです。料金はプランによって異なりますが、デュアルタイプの最安値は1GBプランの1,298円(税込)。20GBプランは2,178円(税込)です。
・利用回線:ドコモ回線/au回線/ソフトバンク回線
・月額料金(税込):880円~2,178円
・データ上限:20GB
2.楽天モバイル(MNO)
楽天グループが提供する楽天モバイル。2020年に大手キャリア入りしましたが、楽天回線が繋がらないときはauの回線を使用しているため、「格安SIM」とも扱われます。
楽天モバイルはいつでも楽天市場での買い物で、楽天ポイントが最大3倍になるなど、楽天サービス愛用者にぴったりのキャリアになっています。
・利用回線:楽天回線/au回線
・プラン名:Rakuten UN-LIMIT VI
・月額料金(税込):3,278円
・データ上限:20GB
3.UQモバイル(MVNO)
UQモバイルは、KDDIグループが提供する格安SIMサービス。
・利用回線:au回線
・プラン名:トクトクプラン/コミコミプラン/ミニミニプラン
・月額料金(税込):3,465円/3,278円/2,365円
・データ上限:15GB/20GB/4GB
4.Y!mobile(MNO)
Y!mobile(ワイモバイル)は、ソフトバンクグループが提供する格安SIMサービス。
・利用回線:ソフトバンク回線
・プラン名:シンプルS/M/L
・月額料金(税込):2,178円/3,278円/4,158円
・データ上限:3GB/15GB/25GB
5.イオンモバイル(MVNO)
イオンモバイルは、イオングループが提供する格安SIMサービスです。
・利用回線:ドコモ回線/au回線
・代表プラン名:さいてきプラン(ひとり)
・月額料金(税込):803円~1,848円
・データ上限:0.5GB~10GB
大手キャリアのサブブランドの格安スマホについてご紹介します。
ahamo(ドコモ)
ahamoは、ドコモが提供する格安SIMサービスです。 ahamoのプランは20GBで2,970円(税込)のみとなっています。
・利用回線:ドコモ回線
・月額料金(税込):2,970円
・データ上限:20GB
povo(KDDI)
povoはKDDIの子会社が運営している格安スマホキャリア。ahamoや現在のLINEMOに対抗する形で発表されました。最大の特徴は基本料金0円という点。
ただし、180日以上有料トッピングの購入がない場合、利用停止、契約解除になる可能性があるので注意してください。
LINEMO(ソフトバンク)
LINEMOはソフトバンクがLINEモバイルを吸収して誕生した格安スマホキャリアです。プランはミニプランとスマホプランの2種類。
・利用回線:ソフトバンク回線
・月額料金(税込):990円/2,728円
・データ上限:3GB/20GB
格安スマホに関するよくある質問
格安スマホに関するよくある疑問と答えをご紹介します。
格安SIMのキャリアは店頭での申し込みや端末購入などができない?
格安SIMキャリアは、ネットでの申し込みや端末購入が主流。
一方キャリアによっては、店頭での申し込みや端末購入が可能な場合も。たとえば、Y!mobile(ワイモバイル)やUQモバイルなどは、全国に直営店や代理店を展開しており、店頭での申し込みや端末購入ができます。
また、たとえばイオンモバイルは、イオンの店頭での申し込みや端末購入が可能です。
格安SIMでも家族割には対応している?
格安SIMでも家族割に対応しているキャリアは多くあります。家族割とは、同じキャリアを利用する家族間で月額料金を割引したり、通話料金を無料化したりするサービスです。
たとえば「Y!mobile(ワイモバイル)」では、同居していなくても家族確認書類が認められれば家族割を使え、2台目以降が毎月1,188円(税込)割引になります。
ただし、家族割には条件や制限がある場合もありますので、詳細は各キャリアの公式サイトで確認してください。
格安SIMでも大手キャリアと同じようにスマホ決済やポイントサービスが使える?
格安SIMでも大手キャリアと同じようにスマホ決済やポイントサービスが使える場合があります。たとえば、ahamoでは「d払い」が可能。「dポイント」を貯めることもできます。
また「PayPay」や「楽天ペイ」などのスマホ決済サービスは、多くの格安SIMキャリアで使えます。ただし、スマホ決済やポイントサービスには条件や制限がある場合もありますので、詳細は各サービスの公式サイトで確認してください。
格安SIMでは通信速度が遅くなったり、エリアが狭くなったりする?
格安SIMでは時間帯によって通信速度が遅くなったりすることがあります。一方、回線自体は大手キャリアの回線を使用しているため、エリアが狭くなることはありません。
また以下のような場合に通信速度が遅くなる可能性があります。
・月間データ量を超過した場合
・大手キャリアから優先的に通信資源を割り当てられている契約者(プラチナバンド)と競合した場合
・大手キャリアから提供されていない周波数帯(プレミアムバンド)を必要とした場合
・端末の性能や設定に問題があった場合
格安SIMから大手キャリアに戻すべき人とは?
格安SIMから大手キャリアに戻すべき人とは、以下のような特徴を持つ人です。
・高速通信量が多く必要な人
・災害時や海外での通信に安心感が欲しい人
・キャッシュバックやポイント還元などの特典を利用したい人
・店頭でのサポートや修理サービスを受けたい人
まとめ
格安SIMの最大のメリットは、月額料金が安いことです。対して、格安スマホのデメリットは、通信速度が不安定になることがある、災害用伝言板への登録不可、緊急速報への非対応などが挙げられます。
しかし、格安SIMの中でもキャリアが提供する格安プランなどを利用すれば、これらのデメリットは、実際にはさほど気になるものでないでしょう。また、乗り換えに不安がある人でも実店舗で契約が可能なサービスを利用すれば、簡単に利用を開始できます。自分自身のライフスタイルに合わせた格安SIMを選びましょう。