ある日突然、SWATが自宅に押し入ってきたと思ったら、まったく身に覚えのない嫌疑がかけられていた——。自宅の無線LANを「踏み台」にされて、あなたが犯罪者に間違われるかもしれない。
IT セキュリティ世界大手・ソフォス社のレポートによれば、先月、アメリカのインディアナ州エバンズビルでこんな事件があった。ネット上に「俺は爆弾を持っている」という投稿を見つけた警察は、アクセス元となる家を特定してSWAT(特別機動隊)を送り込んだ。
SWATはドアをぶち破り、窓を打ち砕いてスタングレネード(閃光発音筒)を放り込む。リビングルームに急行すると、そこでは18歳の少女とお祖母さんがテレビの料理チャンネルを見ていた。
結局、SWATが手入れをした家は犯人の家ではなかった。その家は無線LANのセキュリティ設定をしていなかったために、犯人に「踏み台」にされていたのである。
警察の活躍ぶりをアピールするために地元ニュース局のカメラを引き連れていたSWATは、とんだ大恥をかくことになってしまった。いきなり家をメチャクチャにされ、閃光と爆音に襲われ、銃を突きつけられた2人は、相当怖い思いをしたに違いない。
アメリカでは、ほかにも似たような事件が起きている。ある男性が、性犯罪者と一時的に間違われたというものだ。この男性も自宅の無線LANのセキュリティ設定をしていなかったため、自宅付近から誰でも利用できる状態になっていた。近所の性犯罪者が、男性の無線LANを「踏み台」にして、違法な児童ポルノ画像をダウンロード所持していたのである。
いずれのケースも、犯人は他人の無線LANを悪用していた。自宅からネットに接続するとIPアドレスなどから足がつくので、犯罪者は他人のネット接続環境をこっそり利用したいと考える。セキュリティ設定をしておらず、誰でも自由に接続できる状態に置かれたオープンな無線LANは、犯罪者にとって好都合の環境だ。他人の無線LANを「踏み台」にして犯罪を行えば、警察はアクセス元から間違った“犯人”を割り出すので、真犯人はうまく逃げることができるというわけだ。