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安倍政権、消費増税の裏でこっそり「森林環境税」開始…既存の類似税金と“二重課税”

文=小川裕夫/フリーランスライター
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「Gettyimages」より

 

 今年10月から、現行8%だった税率を10%へと引き上げることが予定されている消費税。税金を多く払うことには抵抗があるから、いまだ反対の意見も根強い。なにより、税率を引き上げることで消費が冷え込み、むしろ景気が悪化することも懸念される。

 私たち納税者が負担しているのは、消費税だけではない。住民税や固定資産税、たばこ税、酒税などたくさんの税金がある。消費税に目を奪われている隙に、政府は新たな税金を制定した。いわば、こっそりと増税を実施したのだ。

 今年4月から政府がスタートさせたのは、森林環境税と森林環境譲与税だ。前者は国が納税者から税金を徴収し、後者は国が森林環境税で集めた税金を地方自治体に分配する税目となっている。政府の試算では、森林環境税の納税義務者は約6200万人。一人あたり年間1000円を徴収するから、森林環境税によって新たに年間620億円の税収が生まれる。

 消費税の10%引き上げが2019年10月からを予定されていることもあり、森林環境税によって実際に課税が開始されるのは2024年度からだが、政府はすでに4月から森林環境譲与税を開始した。徴税の見込み額を算定し、事前に森林環境税を借り入れして分配するのだが、農林水産省の職員はこう話す。

「農林水産業の従事者は、目に見えて減少しています。そのなかでも林業従事者は危機的な状況です。山林は常に手入れが必要で、放置してしまうと土砂災害の原因にもなります。また、山林が荒れてしまうと、山林が持っている水源涵養の機能が失われてしまい、それが農業や漁業にも悪影響を及ぼします。そうした理由から早急に林業を保護しなければならず、そのための財源として森林環境税と森林環境譲与税が制定されたのです」

 こうした経緯から考えれば、当然ながらその使途も林業振興や森林保全に充てられると思われがちだが、現実は大きく異なる。というのも、森林環境譲与税を分配する算出方法が、大都市偏重になっているからだ。

 森林環境譲与税は林地の面積や林業従事者、総人口などに基づいて算出される。そのため、学者や業界団体などによる試算では、それぞれに金額の差が生じているものの、おおむね横浜市や大阪市といった大都市への分配金額が大きくなる。

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