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横浜市などは市域も広く、市街地からはずれた住宅街には緑も豊富にある。それでも林業振興や森林保全のために、多額の森林環境譲与税を必要としているかは疑わしい。大阪市も同様だ。
復興特別税終了のタイミングで
また、森林環境税と類似の税金が都道府県や市町村で徴税されていることも見逃せない。林業振興や森林保全が重要だとしても、国・都道府県市町村が二重課税をするまで深刻な事態とも思えない。林野庁は、森林環境税・森林環境譲与税の導入に際して「国民に痛税感のないような税金にする」と言い続けてきた。
森林環境税のスタートが2024年に先送りされた背景には、東日本大震災の復興に充てられる復興特別税の徴収が終了する時期だったことが大きな要因でもある。このタイミングで森林環境税による徴収を開始すれば、納税者の負担額は見た目では変わらない。増税しても気づきにくく、増税による国民の不満をかわすことができる。
また、今年は消費税率が10%に上がるタイミングでもあった。今年度から森林環境税の徴税を始めなかったのは、それらとタイミングが重なることを避けたという指摘もある。実際の徴税が先送りされたものの、森林環境譲与税を先に始めたこともあって森林環境税の道筋はつけられた。
大都市偏重からも、森林環境税・森林環境譲与税が何のために創設されるのかといった疑問は解消されない。消費税の10%引き上げでは、その使途をめぐって政府の答弁は二転三転している。そうした部分も納税者を疑心暗鬼にさせるが、消費税不信が高まるなかで、私たちの生活を苦しめる増税が水面下で着々と進んでいる。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
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